せっかく分解したのなら、磨いて、美しく仕上げたいのが「エンジン」
レストアではなく、通常のエンジンオーバーホール時には、分解洗浄後の各種パーツをしっかり点検し、必要に応じて部品交換しながら組み立てるものだが、そんな作業時になかなか実践できない作業が部品の磨き作業。徹底的=ピカピカに磨くのではなく、外側から「磨き難い部分」=気楽にリフレッシュしておくことで、組み立て後のエンジンの仕上がりが、より一層、美しくキレイに見えるようになることも知っておこう。 【画像ギャラリー】エンジンの磨き作業を写真で見る(14枚)
ひとめでわかる美しさの違い
ワイヤーブラシで腐食汚れを落とし、数種類の不織布シートを使って磨き込んだクランクケースの上面。フルレストア作業なら「サンドブラストで下処理した後に仕上げのガラスビーズショットで……」となるのかも知れないが、通常のオーバーホールなら、簡単にそれなりにさりげない美しさへの仕上げで十分なはずだ。降ろしたエンジンのドライブスプロケット周辺にはドロ混じりグリス汚れがこびりついているので徹底的に除去し、アルミ地肌をしっかり出した後に組み立て作業に入ろう。 経年劣化と腐食で薄汚かったクランクケースだったが、サンドブラストを利用しなければこのような輝き方に仕上げられる。粒度の粗目⇒中目⇒細目の順で仕上げれば、光沢はもっと増す。
ワイヤーブラシと不織布シートの実用性
細かなところに詰まっているドロやグリス汚れは様々な形状のブラシを使ってこそぎ落とそう。真鍮ブラシはアルミに深いキズをつけずに腐食を落せる便利な商品である。簡単に落ちる汚れはナイロンブラシ、しつこい汚れは真鍮ブラシを利用しよう。スプレーボトルに「灯油」を詰めて汚れに直接吹き付け、ドロとグリスの固まり溶解しながら磨いて洗い流すのが効果的。ブラシは要所要所で使い分けよう。汚れを除去したら脱脂洗浄パーツクリーナースプレーでクランクケース全体を洗って乾燥させよう。さらにここではミニディスクグラインダーのカップに丸くカットした不織布シート(スコッチブライト)をセットして、表面を磨くことにした。
エアーツールや電動工具で作業性は圧倒的に向上する!!
フライパンのコゲ落しに便利な不織布シート。粒度の異なる商品を使い分けて徐々に番手を上げて(商品番号数字を大きくして)磨けば、実践中のクランクケース以上に輝く光沢仕上げにできる。ミニディスクがあると作業性は圧倒的に向上する。今回はスコッチブライト(不織布シート)の細目を使ってクランクケースを磨いたが、もっと粗目で下仕上げを行ない、序々に粒度を詰めていくことで、もっと白っぽく光沢がある輝きを得ることができる。細目だけで仕上げても、こんな感じの美しさになる。 さらに細かな磨き難い部分にはボンスターを丸めて使う裏ワザもある。ケース上面のような平面的部分なら良いが、凸凹が多いクランクケースの後方やドライブスプロケット周辺などでは、先端に切り込みを入れた鉄心にスチールウール(ボンスター)を巻き、ハンドドリルを使って磨き棒代わりに利用することで想像以上の仕上がりを期待できる。