パナレーサーのNEWグラベルキング「X1」を100km乗ってみた!
ドロはけが良さそう。ここは検証したいポイントだ。
グラベルライドを楽しんでいるときによくある悩みのひとつが泥だ。タイヤにまとわりついてクリアランスを埋め、自転車を重くしたり動かなくさせたり、果てには破損までさせたり……。この泥との戦いでもあるのがグラベルライドと言ってもいい。現に昨年参加したアメリカのアンバウンドグラベルでは泥による障害がすさまじく、自転車を押してしか進めない(もはや押してもダメでもちあげなきゃ進めない)区間に相当苦しんだ記憶がある。泥対策、必須命題だ。 ぬかるんだり湿ったりしているときに泥がまとわりつきやすく、実際この多摩川のグラベルライドでもそういった区間があり見事にタイヤにまとわりついた。しかし無理やり少し走るとタイヤのセンター部分から泥が落ちている。走っている最中にタイヤの回転にあわせて泥が飛んでいくのが確かに見えた。これはうれしい。多少の泥は頑張って走っていれば勢いで飛んで行ってくれる。アメリカで味わったくらいの異常な粘土質の泥はまだ未経験なので手放しに「ドロはけ抜群! 」とはまだ言えないが、検証の価値はある。 このタイヤのセンター部分を見てほしい。泥がサイド部分と比べて剥がれ落ちていることが分かるだろう。 聞くと、このタイヤの開発に深くかかわっているのがパナレーサーの佐藤さんだ。佐藤さん? 佐藤さん……思い出した! 昨年アンバウンドグラベルの会場で一緒になり200マイルを完走した人だ。彼も相当に泥に苦しんだと聞いた。どうも“苦しみ”は人だけじゃなくプロダクトも成長させるらしい。
構造違いで展開される3つのスペック。「R」の軽量化は見過ごせないかも
今回のグラベルキングリニューアルにおいて、「X1」の登場の他に目を引いたのが新スペックの登場だ。今まではオーソドックスな無印と、耐パンク性能を強化した「+(プラス)」のシリーズの2種類。そこに新たに加わったバリエーションの「R(アール)」はより軽さとしなやかさを追求した高スペックのラインだ。重さはとても分かりやすい指標なので実際に計測してみた。 「X1」45CのRスペックだと、重量は片側で約525gだった。同じものの無印をこの後に計測したが、結果は片側約575gだ。重量差は片側で50g、両側で100gもある。とくに重量差の影響を受けやすい回転体の外周の重さということを考えると、この「R」スペックの登場は看過できない。 また、同時期にシーラントも新しくなった。シールスマートEXは前回と比べてより長い期間使えるようになったという。前回までのシーラントは「レース中のパンクがすぐ直るようにしてほしい」というレースチームからの要望によりシーラントに大き目のクルミの殻を混ぜていた。そのためパンク修理性能自体はよかったが、バルブからのシーラント投入ができないなど課題もあった。 今回の「EX」は改良が進んだことで中に入っているクルミの殻が細かいものだけになったためバルブからのシーラント投入も容易になった。それでいてパンク修理性能は前回までのものと同じレベルという。2~4カ月くらいは補充しなくてももつということなので、しばらく使ってみようと思う。 100km走ってみて、「もうグラベルライドはとりあえずこのX1でいいよね」という感覚でいる。もちろんグラベルは路面が千差万別で、同じ条件の道はないからこれからも使っていく必要はある。しかし現時点でタイヤを買うとしたら、「X1」を買えば後悔することはないと言ってもいいだろう。 TEXT:Sakamoto Taiki PHOTO:Sakamoto Taiki / Mikami Yuki
Bicycle Club編集部