最低賃金が「55円」アップ! 賃上げを期待したけど、会社からは「諸手当を含めば最低賃金はクリアしている」と言われました。最低賃金には“諸手当”も含まれるんですか? 働く人が知っておくべきポイントを解説
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。諸手当については、最低賃金に含まれるもの、除外するものが明確に定められていますが、不適切な取り扱いも見受けられるようです。 ▼勤続20年でも年収は「280万円」貯蓄も「30万円」しかないのは少なすぎ!? 転職したほうが良いの? 本記事では、厚生労働省の資料などに基づいた正確な取り扱いと、最低賃金制度の趣旨・概要も含め、働く人が知っておくべきポイントを解説します。
最低賃金制度とは何か
最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者(会社)は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。就業規則や労働契約などで労使の合意があっても、最低賃金以下の賃金を定めることはできません。 最低賃金は、通常は都道府県別に定められる「地域別最低賃金」を指します。都道府県内の事業場で働くすべての労働者とその使用者に適用されます。正社員、パート、アルバイト、派遣社員といった雇用形態は問われません。 2024年10月以降に適用される最低賃金は図表1の通りです。全国の目安は「50円アップ」とされていましたが、27県でこれを上回り、徳島県は84円増の980円と大幅引き上げを決めています。このほか、特定の産業に設定される「特定最低賃金」もありますが、今回は説明を省略します。 図表1
厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧を基に筆者作成
派遣労働者の取り扱い
派遣労働者には、派遣元の事業場の所在地にかかわらず、派遣先の最低賃金が適用されます。例えば千葉県(最低賃金1076円)の派遣会社から東京都(同1163円)の事業所に派遣された場合には、東京都の最低賃金1163円が適用されます。
最低賃金に含まれるもの・含まれないもの
最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。 臨時に支払われる賃金(結婚手当など)や1ヶ月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)は対象外です。また、毎月の基本的な賃金という趣旨から、時間外・休日・深夜等の割増賃金、精皆勤手当、通勤手当、家族手当なども対象外となります。