【タイヤインプレ】ミシュラン「パワーGP2」|狙ったラインを外さない、研ぎ澄まされた鋭利な走り!
絶対的スポーツ性に酔うが、公道での違いは僅かか?
ミシュランの新製品「パワー6」よりも、ワンランクスポーティな「パワーGP」も「2」へと進化した。パワーGP2は公道とサーキット走行の比率を50%:50%に設定したことで鋭い走りはもちろんこと、全方位で進化した。 【写真はこちら】「パワーGP2」を装着したバイクの走行シーン スポーツバイク好きならば、たまにはサーキット走行会に参加したいことだろう。公道での楽しいワインディング走行から、さらにもう一歩先のスポーツライディングを味わいたいライダーに向けたのが、この「パワーGP」シリーズだ。こちらもパワー6と同時に「パワーGP2」へと進化した。 グルーブが長く採られ、かつ左右非対称のデザインになった特徴はパワー6と同様で、これによりスポーティなルックスも高められている。長いグルーブデザインに変わってもボイド比(ミゾの比率)は前作と同じ6.5%に設定されたことでサイド部のスリック領域が増え、深いバンク角での性能的確保にも一役買っている。 また2CT+テクノロジーの進化により、加速時のスタビリティを向上させているのもパワー6と同様のアプローチ。これらにより、ドライグリップ、ウエットグリップ、ハンドリングの向上に加え、ロングライフも達成しているのがありがたい。なおリアに160幅サイズが追加され400~650ccクラスのバイクにも対応した。 前作と乗り比べができた。まずは前作パワーGPで走り出す。車両はGSX-S750。パワーGPのグリップ、ハンドリング、攻め込んでいった時の安心感は完全に段違いだ。フロントブレーキを強めに残したまま旋回を始めた時のビタッと張り付いている感覚、深いバンク角からアクセルを開けて、リアがバイクを蹴りだしていく感覚はさすがサーキットも視野に入れた作りであり、ワインディングでもその恩恵は感じられるはずだ。 ただ困ったことに、新作GP2に乗り換えてもその違いがほとんど分からなかった。確かにエッジグリップはいくらか高いような? コーナーアプローチもわずかに余裕が生れたような感じでテスターとして恥ずかしいが、少なくとも公道レベルでは前作GPでも楽しいスポーツ走行が可能だし、GP2との違いは(ロングライフ意外の部分では)わずかだと思う。 ということはGP2の真価が発揮されるのはサーキットということだろう。自分のバイクや走行スタイルに合わせて空気圧を調整し、しっかりとタイム計測した際などに差が出るはず。比較試乗では正直「前作でも十分」と感じたものの、こう考えるとライフも伸びたパワーGP2を選ばない手はない。やはりサーキットでスポーツライディングを楽しみたい人には、最新タイヤを満喫してほしい。
ノア セレン