両腕で歩くミャンマーの牧師と合気道開祖の「最後の内弟子」 Vol.31
無刀取りの武者修行
日本館総本部の完成後、本間館長は武者修行の旅に出かけるようになった。 彼が武者修行に飛び出して行く先は、ほとんどが開発途上国の言葉も通じない国々である。彼はその開発途上国の末端道場を前線道場と呼び、そこにあえて身を投じて己を鍛えているという。 特に他武道(空手、中国拳法等)を稽古している道場へ積極的に出稽古に行く。この場合、他武道からの挑戦者も危険であるが、それ以外にもテロ、犯罪、風土病等に襲われる危険が常に存在することになる。 我が身を厳しい異国の前線道場の緊張の中に置き、他の武道家と同じ目線から己の武道、武技の確認工夫を行なおうというのである。彼らの世界(アウェー)で、名も知らぬ武道家達とどのように対戦し、どのように彼等を扱って自分のペースに引き込むか、つまり「無刀取り」の実践修行をしているということである。 その実践修業と併せて、AHAN(Aikido Humanitarian Active Network)というボランティア活動を行っている。開発途上国へ出かけて行くと、貧しい子供達の姿を見にすることが多い。その姿を見ていると本間はじっとしていられなくなる。例えば孤児院があるとそこを訪れ、事情を聴き、食糧、教材など必要な支援を行う。 無刀取りの実践修業とAHAN活動の二刀流を行うことによって、本間は合気道の精神を現地武道家達に訴えているのだ。 (Vol.32に続く)
Project Logic+山本春樹