【コラム】第50回「ルクレールは“無冠の帝王”で終わってしまうのか」|F1解説者ムッシュ柴田のピットイン
ラスベガスGPの最終周、超絶オーバーテイクを決めたルクレール
波乱のラスベガスGPを制したのは、またもマックス・フェルスタッペンでした。一方で今回はチャールズ・ルクレールも、久々に魅せてくれました。 【F1™|ハイライト】F1™2023第22戦 ハイネケン・ラスベガスGP 決勝|2023 現地時間土曜深夜の決勝レース。スタート直後に2番手に後退したルクレールでしたが、1ストップ作戦で首位を奪い返します。しかし37周目にフェルスタッペンに再び抜かれ、さらに終盤43周目にはセルジオ・ペレスにもかわされ、3番手まで順位を下げてしまいます。 レッドブル勢より5周以上古いタイヤということもあり、もはや勝負あったという感じでした。しかしルクレールは最終ラップの50周目、ターン14のハードブレーキングでペレスのインを差し、2位奪還に成功します。 1.9kmものロングストレートを時速340km超で走行し、フロントタイヤは冷え切っていたはず。それでもルクレールは完璧な制動でブレーキロックさせることなく、ペレスの一瞬の油断を突いて抜き去っていきました。レッドブルに好き勝手はさせないという意地と強い決意が窺えた、ルクレールのキャリアベストの一つと言っていいオーバーテイクでした。
フェルスタッペンとは幼少期から長年の好敵手
同じ1997年生まれのルクレールとフェルスタッペンが、幼少期のカート時代からずっとライバル関係だったのは有名な話です。 ただしF1デビューはフェルスタッペンの方が3年早く、ルクレールがまだGP3ドライバーだった2016年に、フェルスタッペンは18歳227日の最年少記録でF1初優勝。着々と、トップドライバーの階段を駆け上がっていきました。 ルクレールは2018年、ザウバーから待望のF1デビューを果たします。翌2019年にはフェラーリに抜てきされるといきなり2勝を挙げ、エースドライバーだったセバスチャン・ベッテルを凌ぐポイント(ルクレール264点/ベッテル240点)を獲得する活躍を見せました。 ドライバーズ選手権3位のフェルスタッペン(278点)に対しても、僅差の4位。F1デビュー3年の出遅れを一気に挽回し、二人の新たなライバル関係が始まったかに思われました。 しかしその後のルクレールは、マシンの戦闘力不足やトラブル、戦略ミスなどに足を引っ張られ、足踏み状態が続きます。ルクレール自身のミスで、ポールポジションからのスタートを結果に繋げられないレースもいくつもありました。
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