「保険」と「ローン」は本当に必要? 人生の二大無駄について再考する
ローンを組んでまで、買って損な気持ちにならないのは?
次にローンの本質を考えてみます。ローンというのは「他人のお金を使わせてもらうということ」です。その使用料が金利です。ローンを利用するメリットは支払う金利というコスト以上に何らかのメリットがある場合です。これは企業の場合であればはっきりしています。金利という費用を払ってでも資金を調達して設備投資をすることで、金利を上回る収益が上がれば十分メリットはあるからです。 でも個人の場合は事業をやるわけではありませんから使用料を払ってまで人のお金を使わせてもらうメリットというのはそれほど多くはありません。ほとんどの場合、何か欲しいものがあれば、お金を貯めてから買えばいいのです。 そういう具合に考えると、個人がお金を借りてまで購入する必要があるというのは強いて言えば住宅ぐらいだと思います。住宅というのは高額ですから、お金を貯めてから買う場合、実際に家を取得できるのは相当高齢になってからになってしまいます。 そこでローンを組んで住宅を取得すれば、長い間にわたって快適な居場所を確保することができるという満足感を得ることができます。たとえ金利という費用を負担したとしてもそれ以上の大きな満足というリターンを得ることができるのであれば、それなりの価値はあるかもしれません。 ところが、買い物や旅行にまでローンを使うというのはいかがなものでしょうか。これらは「どうしてもローンを組まなければ買えない」というものではありません。早く欲しい、早く行きたいという欲望を少し我慢してお金を貯めてからにすればいいのです。 それに住宅ローンは取得物件が担保であったり、生命保険がついていたりという条件があるため、金利はかなり低いのですが、消費のためのローンはカードローンも含め、きわめて高い金利です。果たしてその高金利を上回るだけの満足やメリットが得られるのでしょうか? こう考えると、むやみやたらにローンを利用するというのはやはり考えモノです。 保険料とローンというのはまさに人生における二大無駄と言えます。老後のために資金づくりをするのであれば、真っ先に見直すべきものでしょう。それを利用することが本当に必要かどうかはじっくりと検討すべきだと思います。 (経済コラムニスト・大江英樹)