長野県松本市が宿泊税活用議論へ 独自課税導入へ検討委
長野県松本市は観光振興の新たな財源として、ホテルや旅館の利用者から徴収する「宿泊税(観光振興税)」の導入に向け、今月末から本格的な検討に入る。県が1人1泊につき300円を徴収する方針を示したことを受け、独自課税をしたい市は県と大枠の方向性を共有した上で令和8年4月の導入を目指す。有識者でつくる検討委員会の初会合を24日に開いて必要性や使途などを検討し、年内をめどに提言を受ける。 県が示した県観光振興税(仮称)の骨子案によると、宿泊税は1泊3000円以上の宿泊(食事代は含まない)が対象で、修学旅行など学校行事は課税が免除される。独自課税を検討していない市町村は、徴収額の3分の1(300円のうち100円分)が市町村裁量で観光施策に使える「一般交付金」として県から配分される。 独自課税を検討しているのは松本市のほか北佐久郡軽井沢町、北安曇郡白馬村、下伊那郡阿智村、下高井郡山ノ内町で、いずれも宿泊客が多い。徴収する300円は変わらないが、市町村、県それぞれの税額を150円とし、市町村分の徴税事務を担う。 松本市は延べ宿泊者数が県内1位(令和元年)で、宿泊事業者数(3年)も白馬村、軽井沢町に次いで多い。3月には、宿泊事業者が加入する松本観光コンベンション協会から税導入の要望を受けた。市は1人1泊150円の徴収で、年約3億円の税収を見込む。 市観光プロモーション課の素案では、市の税額を県の案より多い3分の2(200円)としていたものの、臥雲義尚市長は「大きな方向性は共有できる」とし、検討委では県の素案を基に議論を求める方針だ。 宿泊税は東京都、京都市など9自治体で導入されており、今後数多くの自治体で導入を予定している。同課の勝山裕美課長は「宿泊する方、宿泊事業者に納得していただく方向性を見いだしていきたい」と話している。
市民タイムス