超危険な「あおり運転」、実は両親からの影響だった? 英国の専門家が指摘する3つの理由とは
制限速度のジレンマ
教習所では教わらないが、「車の流れを妨げないよう、ときには制限速度以上で走る」という運転の不文律がある。 【画像】えっ…! これが60年前の「海老名サービスエリア」です(計15枚) 筆者(鳴海汐、日英比較ライター)の母は制限速度を守るタイプだが、筆者が同乗するとかなりの確率で 「また後ろに車がぴったりついてきてる」 といい出す。たしかに、車がかなり近くに来ている。スピードメーターを見ると、こちらの車の速度は制限速度ジャストだ。遅いならまだしも、理不尽ではないか。
日本のあおり運転の実態
チューリッヒ保険会社(東京都中野区)が全国のドライバー2230人に「2023年あおり運転実態調査」を行ったところ、「あおり運転をされた経験がある」と回答したドライバーは53.5%だった。された側として理由を想像してもらったところ、 ・制限速度で走っていた(23.5%) ・スピードが遅かった(22.4%) が上位1位、2位だった。 ・追い越しをした(16.3%) ・合流をした(14.3%) ・車線変更をした(12.2%) といった行動によるものもあるが、なかには、 ・自分が相手より、おとなしそう、弱そうに見られた(5.1%) ・車種を見て(4.1%) といった悲しいものもあったが、たしかにありそうなことだ。 2020年6月に妨害運転(あおり運転)に対する罰則ができたので、「他の車両等の通行を妨害する目的で、急ブレーキ禁止違反や車間距離不保持等の違反を行うこと」は、最大で懲役3年、「著しい交通の危険を生じさせた場合」は最大で懲役5年の刑である。さらに、「運転免許取り消し」のリスクもある。 あおり運転のなかで典型的なものは「車間距離不保持」だが、警察庁が発表した「高速道路における道路交通法違反取締り状況」では、 ・2023年:5527件 ・2022年:5213件 だった。実際に発生している件数は、一般道も含め、相当な数にのぼるだろう。
英国のあおり運転の実態
あおり運転については、英国にさまざまなデータがあるので紹介したい。高速道路管理局は、国内の主要道路での死傷者の 「8人にひとり(12.5%)」 はあおり運転が原因だったと報告している。 「運転はゲームじゃない。あおり運転が衝突を起こす。現実世界では、予備の人生はない」と訴える。 あおり運転はどれだけ発生しているのか。同局は、試験的にノーサンプトン近郊の高速道路M1沿いに人工知能(AI)監視カメラを1年間(2020年10月から2021年9月まで)設置した。 カメラは、6万343件の車間距離不保持を検出した。また、再犯者が1万994人いたことを確認した。ただ1か所のカメラでこの数なので、全国的にはものすごい数になる。 2022年1月から、あおり運転は不注意運転に分類され、100ポンド(約1万9190円)の罰金と3点の減点が課せられることになった。 AI監視カメラで片っ端から摘発していけば、減る可能性が高いが、現段階では中央車線の独り占めやあおり運転撲滅キャンペーンを2024年3月8日から行っている。ラジオやテレビの広告、ポッドキャスト、道路脇の看板、高速道路のサービスステーション、大型ショッピングセンター、大型ショッピングセンターやガソリンスタンドのポスター、そしてソーシャルメディアで訴求する。