含み益への課税も示唆?ハリス氏の経済政策に“社会主義的だ”と懸念の声も…在米経営者「スーパーリッチが国外に逃げる」もしハリvsもしトラ 日本への影響は?
■イメージのハリス氏?実績のトランプ氏?揺れるアメリカ国民
一般市民の反応として、ブランドン氏は「スーパーリッチから、苦しんでいる人への再分配は支持されている。富裕層から取るのは問題ないとの意見も多々ある」という。大統領選をめぐる持論は「人を選ぶのか、政策を選ぶのか。清廉潔白な人がいいのか、とんがっていても実務能力を優先するかによって判断が変わるため、悩みどころだ」と語る。 経営者や投資家の視点からは、トランプ氏の経済政策を評価している。「増税や含み益の課税はあり得ない。自分としても破綻してしまう。実現性は低いものの、その考えを持っているハリス氏がトップに就くと、経営者としては面倒なことをやられる可能性がある」と懸念を吐露した。 ブランドン氏には、トランプ政権時代に「思ったよりヤバくならなかった」との実感もある。一方のハリス氏には「『当選すれば国が良くなる』と言うが、現職の副大統領は、今やれることがたくさんある。課長が『部長になれば良い会社にする』と言うのと同じで、『今はまだ課長だから』は言い訳に過ぎない」と手厳しい評価をしている。 クラフト氏は、ハリス氏の政策が、必ずしも富裕層を狙い撃ちした「富の再分配」とは言えないと説明する。「アメリカ人の6割は株式投資をして、その多くは年金だ。キャピタルゲイン増税が年金にもかかれば、中間層への増税につながるので、現実的ではない」とした。 ウォールストリートジャーナルが8月24~28日に行った世論調査について、「どの政策が最重要かの順位では、一番が経済政策で、移民問題、インフレ・中絶権と続く」と紹介する。「両候補に対する評価は、経済問題がトランプ51%、ハリス43%。移民問題は49%対42%。中絶はハリス氏が20ポイント優位だが、重要度と評価を見ると、トランプ氏に有利な部分がある」と着目した。 それでもトランプ氏が劣勢なのは、「政策論争に持ち込まず、誹謗中傷ばかりしている」ためだ。先の世論調査では、「大統領・副大統領としての仕事を評価」の項目もあったが、「48%対42%で、トランプ氏の評価が高い。実績と政策面で優位にもかかわらず、ハリス氏に勢いがあるのは、共和党の選挙戦略がうまく機能していないからだ」と、共和党の問題点をあげた。 クラフト氏自身は無党派層のため、どちらを支持するか悩んでいる。「一つ言えるのは、ハリス氏がまだ何もしていないこと。討論会もやらず、副大統領として大きな成果をあげているわけでもない。『女性大統領』は見てみたいが、女性のみを投票理由にはできない。これから2カ月の力量や実績を見つつ、ギリギリまで悩むと思う」。