予防で45%リスク減少/医療ジャーナリスト・安達純子
「新薬登場で重要度が増す~認知症の早期発見と予防」<8> アルツハイマー病による軽度認知障害や軽度認知症に対する新たな治療薬が登場したが、依然として完治の道は開けていない。65歳以上の7人に1人が認知症と推計される中、どう予防すればよいのか。 「認知症は生活習慣と関係が深いといえます。健康を維持するため生活習慣病を放置しないことと一般的にいわれますが、それは認知症予防にも役立ちます」とは、筑波大学付属病院認知症疾患医療センター部長の新井哲明教授。厚労省科学研究「認知症医療の進展に伴う社会的課題の検討のための研究」研究代表者で、予防法にも尽力している。 「英国の医学雑誌『ランセット』の委員会が、2024年に新たな『認知症の予防、介入、ケア』の研究報告を行いました。危険因子を減らすと認知症患者さんを45%減らせる可能性があります」(新井教授)。 この研究の45~65歳の危険因子は次のとおり。難聴、LDLコレステロール高値、うつ病、頭部外傷、運動不足、糖尿病、高血圧、喫煙、肥満、過剰なアルコール摂取。65歳以上の危険因子には、社会的な孤立、大気汚染、視力低下が加わっていた。 「中年期の体調不良を放置せずに改善すれば、老年期の認知症予防にもつながります。仕事などをがんばりすぎてうつ病になるのも避けましょう。また、65歳以上では社会的な孤立は認知症の最大要因ともいえます」(新井教授)。 生活習慣病予防とメンタルヘルスを意識することが大切。自分でできることから始めよう!