【解説】「台湾人」が選ぶ未来 総統選挙の情勢は…残り3か月の注目点
■「野党統一候補」狙う郭台銘氏は
8月に無所属での出馬表明を行った郭台銘氏。無所属で出馬するには前回(2020年)の総統選挙の有権者数の1.5%(約29万人)の署名を集めた上で、11月20日から24日の間に立候補登録をする必要がある。
Q 郭氏の状況は? 「郭氏は出馬の時、自分が出るのは野党陣営を統合するためだと述べたが、これは自分が野党統一候補になり他の候補は自分をサポートせよという、かなり自分に都合のいい出馬理由を述べている。今は野党の2政党(国民党・民衆党)とも郭氏を相手にしないという態度に出ている」 「郭氏は資金力があり、署名集めの事務所を開き、バイトの学生なども集めているが、それだけで支持を拡大できるほど台湾の選挙は甘くない」
■「強い執着心」で出馬か
Q 郭氏はなぜ苦戦している? 「郭氏の主張が他の3人からすると親中色が強いというのがある。(台湾の独自性を重視する)台湾アイデンティティーが広がる今の台湾社会で、『中台関係を重視する』『中国とうまく話をつける』という郭氏の言い方ではやはり疑問視される。『それって結局中国共産党の言い分をのまされるのでは?』と。そして郭氏自身がそこ(有権者の懸念)をあまりわかっていない」 「(中国との関係の深さから)郭氏が出てきたことを日本で『中国共産党が裏で操っているのだろう』とネットでつぶやく人もいるが、今回に関してそれは違う。では郭氏はなぜ出てきたのかというと、どうしても台湾の総統になりたいという個人的な野心、政治の分野でも一花咲かせたいという強い執着心があって出てきたとみている」
■立候補断念も?
「鍵となるのが11月に郭氏が本当に立候補登録するかだが、今のままでいくと登録ができなくなる可能性もあると私は見ている。仮定としてこのまま支持率が上がらないとすると、そしてそもそも野党連合を進めるために立候補したと言っているのに柯文哲氏からも侯友宜氏からも相手にされていない。(この状況では)何のために出るのかとなる。最後の段階で辞退宣言というものも可能性としてはありうる」 「それでも郭氏は意地で立候補登録してしまうかもしれない」 また、小笠原氏によると郭氏が立候補登録し、野党候補が3人になった時点で頼清徳氏の当選が「かなり確実視される」という。