【解説】「台湾人」が選ぶ未来 総統選挙の情勢は…残り3か月の注目点
■総統選挙敗北でも議会で躍進か
総統選挙と同じ日、国会議員にあたる立法委員選挙(定数113)も行われる。こちらの行方も無視できないという。 Q民衆党は選挙区の候補者擁立に苦労している? 「規定上、10の選挙区は(候補者を)立てないと、比例区に名簿を提出できない。ただ、(民衆党の候補が)選挙区で激戦を演じられるような候補かというとそういうわけでもない。地方組織が弱いところがすごく出てしまっている。ただ民衆党の現有の5議席はすべて比例で得ている。今回それを倍増しそうな勢いだ」 「11議席とる可能性があるし、少なく見ても8議席。とにかく今より伸びるのは確実。民衆党が8議席とるとするとその時点で民進党が過半数割れしている可能性が非常に高い。つまり、(総統選挙で敗北しても)柯氏が立法院でキャスティングボードを握る可能性がかなり大きく、今後4年間、相当な影響力を行使できることになる。そういう意味でも柯文哲氏は要注目の人物だと言える」 Q 民進党が立法院で過半数を割り込む? 「民進党が過半数をぎりぎりで維持する可能性はまだ残っている。確率で言うのは難しいが、過半数を維持できるかは五分五分だとみている」 「選挙区のうち、7つ8つが(民進党と国民党のどちらがとるか)もう全然わからない。日本の衆議院(定数465議席)で考えると4倍にあたるので、7,8議席の4倍(=約30議席)が当落線上で争っている状況。これがどっちに転ぶかはすごく大きい」 「(国民党が善戦し、民進党を過半数割れに追い込めば)総統選挙で負けても国民党が立法院で勢いをつけるというシナリオもあり得る。そのときに民衆党の柯文哲氏と組めれば野党連合が与党を上回り、民進党からすると一番嫌なシナリオになる」
■台湾議会の「ねじれ」が米中関係にもたらす影響
「(民進党が少数与党になり)予算が通らなくなると、アメリカの台湾への武器売却が進まなくなる。予算の裏付けがなくなり買えなくなってしまう。これはすごく大きい。」 「あるいは対中関係を動かすような法律が出てくることもあり得る。総統選挙だけでなく、立法委員選挙も重要だ」