頼りになる! 走りがいい!! 燃費もいい!!! この10年の最適解か「PHEV」のガチな実力
バッテリーEVの弱点を解消しながら、CO2排出量をある程度抑えることができるプラグインハイブリッド車(PHEV)。日本におけるPHEVといえば、三菱のアウトランダーPHEVが知られていますが、トヨタからも続々と登場しています。 【画像ギャラリー】もっとも売れているPHEV!!三菱「アウトランダーPHEV」の新型モデル(10枚) ちょい乗りであればEV走行によってガソリン代を節約することができますし、電欠によって走行不能となる心配もないという、理想的なPHEVですが、いまだ販売の主流にはなっていません。PHEVはなぜ苦戦しているのでしょうか。 文:吉川賢一/写真:TOYOTA、HONDA、MITSUBISHI
HEVの10%ほどしか売れていない
現在販売されている国産車におけるPHEVは、トヨタのRAV4やハリアー、プリウス、クラウン(スポーツ)、センチュリー、そしてレクサスのRXとNX、三菱のアウトランダーとエクリプスクロス、マツダのCX-60と新型CX-80、ホンダの新型CR-V e:FCEVと、全部で12車種ほど販売されています。つい先日の2024年12月20日には、トヨタのアルファード/ヴェルファイアからもPHEVが登場しました。 これらPHEVの2024年11月度の登録台数をみると、もっとも多いのがアウトランダーで1,872台、次いでプリウスで980台。以下、クラウン(スポーツ)(230台)、ハリアー(100台)、RAV4(90台)、センチュリー(30台)と続きます(レクサスは未発表)。プリウスでいえば、HEVは同年同月で8,790台の登録がありますので、PHEVはおよそ10%程度となります。
HEVよりも100万近く高くなる場合もあるPHEV
PHEVは、ガソリンを使わずに50~100km程度の電動走行ができることや、充電せずとも燃料でも走ることができること、また、アウトドアレジャーや災害などの停電時の電源供給ができることなど、ガソリン車やBEVでは代えがたい魅力があります。それでも、いまいちトレンドになりきれない最大のネックは、やはり価格の高さでしょう。 たとえば、クラウン(スポーツ)でいえば、SPORT Z(ハイブリッド)が税込590万円であるのに対して、SPORT RS(PHEV)は税込765万円と175万円も高価。プリウスの場合でも、Z(ハイブリッド車)が税込370万円であるのに対して、Z(PHEV)は税込460万円と、こちらも90万円も高価です。PHEVには政府補助金がありますが、2024年度のPHEVのCEV補助金55万円を加味しても小さくない価格差です。 もちろん、PHEVは、EV走行をすることで、ランニングコストを下げることができますが、下がったコストでこれだけの車両価格の差を埋めるのは難しいです。メーカー側もPHEVの魅力として、高出力モーターによる加速力や、アウトドアなどで外部給電車として利便性を、積極的に打ち出しています。国産の小型車には設定がなく、国産ではミドルクラス以上、またメルセデス、BMW、アウディ、ボルボ、JEEP、MINIなど、高級輸入車にラインアップが多いのも、高額車であればあるほど、PHEV化による価格のインパクトが少なく済むからです。