30年債利回り2.03%に上昇、13年ぶり水準-金融正常化や入札警戒
(ブルームバーグ): 新発30年国債の利回りが13年ぶりの高水準となった。日本銀行が国債買い入れオペを減額したことを受け、金融正常化が早まると警戒されて売り圧力がかかった。超長期ゾーンでは需給が悪化する中、16日に行われる20年国債入札に向けた売りも出た。
13日の債券市場で新発30年国債利回りは前週末より3.5ベーシスポイント(bp)高い2.03%と、2011年8月以来の水準に上昇した。その後2.025%にやや戻している。利回りの上昇は、これまで日銀の低金利政策による運用難から米国や欧州などの外国債券に投資していた国内機関投資家の円債回帰を徐々に促す公算がある。
日銀は13日、定例の国債買い入れオペで長期債の購入予定額を減らした。市場では買い入れ額を据え置くとの見方が多かったため、幅広い年限で金利が上昇。オペ結果では残存期間10-25年の応札倍率が上昇して需給悪化が示され、一段と売られた。
SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは、30年債利回りは生命保険の予定利率にかなう2%台にすでに入っているが、「10年以下のゾーンの金利上昇が止まらず、超長期ゾーンの目線も切り上がっている」と指摘。日銀が外部環境面から見込みにくいこのタイミングで減額したことは「円安進行がトリガーになっている可能性があり、今後も減額される恐れがある」と述べた。
日本生命、魅力出た30年債「2%しっかり超せば投資前倒し」-24年度
日銀が9日発表した4月の金融政策決定会合の「主な意見」では、円安を背景に基調的な物価上昇率の上振れが続く場合、正常化のペースが速まる可能性は十分にあるとの意見が政策委員から出た。「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で示す見通しが実現すれば「金利のパスは、市場で織り込まれているよりも高いものになる可能性がある」との声もあった。
10日の30年国債入札では、日銀が追加利上げや国債の購入減に前向きな姿勢を示したことを受けて金利の先高観が高まり、投資家は買いに慎重だった。