ラインの力で優勝した脇本雄太 ウィナーズカップ決勝に見た「競輪」の面白さと奥深さ
北井選手が脇本選手の外に並んだところで、レースは打鐘を迎えます。このあたりから北井選手も全力モードにシフトしますが、先頭の窓場選手はそれを寄せ付けないスピードで先頭をキープ。脇本選手の外を北井選手が併走するカタチのまま、最終ホームに帰ってきました。ここで、古性選手が外にいた深谷選手をブロック。それと同時に、南関東勢の後ろに切り替えていた伊藤選手が、単騎で前に襲いかかりました。
素晴らしい奪取で先頭との距離を一気に詰めた伊藤選手は、最終1センターで北井選手の前まで進出。深谷選手は古性選手のブロックで、北井選手との連係を外してしまっています。その外を今度は坂井選手も仕掛けて上がっていくなど、一気に動きが激しくなってバックストレッチへ。力尽きた窓場選手を捲りきって、伊藤選手が先頭に立ちます。ここで脇本選手は、伊藤選手の後ろに切り替えました。 脇本選手の外には、再び北井選手が併走。その後ろからは、単騎で捲った坂井選手と、その後ろに切り替えた清水選手が前を追います。清水選手は最終バック手前で仕掛けて、坂井選手のさらに外から前を捲りに。先頭の伊藤選手、その直後に脇本選手と北井選手が並び、さらにその後ろには古性選手と坂井選手と清水選手が並ぶという隊列となって、レースは勝負どころに突入します。
勝負どころで見せた古性の“仕事”
ここで素晴らしい“仕事”をしたのが古性選手。3番手から加速しつつ、脇本選手と北井選手の狭い隙間にスッと入っていって、外の北井選手を軽くブロックします。これによって大きな影響を受けたのが、北井選手の外にいた清水選手。スピードに乗って捲ってきたところで、北井選手との接触を避けるために、イエローラインの外まで張られたようなカタチになってしまいました。 古性選手が動いて空いたスペースを狙って、内に斬り込んだ坂井選手。先頭では伊藤選手がまだ踏ん張っていますが、さすがに余力は残っていないでしょう。ブロックから戻ってきた古性選手が坂井選手の外につけて、その外に伊藤選手を差しにいった脇本選手という隊列で、最終2センターを回って最後の直線へ。北井選手はここで失速し、態勢を崩された清水選手は、脇本選手の後ろから前を追います。 直線の入り口で、一瞬にして伊藤選手を抜き去った脇本選手。その後ろからは、古性選手が内をついてグイグイと伸びてきます。しかし、脇本選手もまったく譲らず、その差がなかなか詰まりません。外からは清水選手も追いすがりますが、こちらも前との差はほとんど詰まらないまま。結局、ゴール前でも隊列は大きく変わることなく、脇本選手が先頭でゴールラインを駆け抜けました。