人気マンガの『宇宙兄弟』アニメ化を実現した裏側とは
人気マンガ『宇宙兄弟』(原作:小山宙哉 講談社)の“エピソード0”を描いたアニメ映画『宇宙兄弟#0』が今週末、公開される。宇宙飛行士を目指す兄弟を描いた同作品は、2008年に『モーニング』で連載を開始し、単行本の累計発行部数は1400万部を超えている。連載当初からアニメ化を熱望していたという永井幸治プロデューサー(読売テレビ)は、どういう経緯でアニメ化を実現したのか、その思いとはーー。 読売テレビで音楽や情報番組の制作に携わっていた永井さんが、アニメ制作に携わるようになったのは、2006年から。手がけた作品には『宇宙兄弟』のほか、『ヤッターマン』(2008年~2009年)などがある。永井さんが『宇宙兄弟』に出会ったのも、『ヤッターマン』の制作を行っていたころだった。 「『宇宙兄弟』は、『ヤッターマン』の放送が始まった頃に連載がスタートしていた。『ヤッターマン』をやりつつ、“次”を考えていたとき、『宇宙兄弟』がひっかかっていた」と振り返る。理由は、知的好奇心をくすぐる舞台が用意されていること。「宇宙飛行士にどうやってなるのか、なんて、当時はあまり知られていなかったと思う。その情報が土台で、いい舞台になっていると思いました。ストーリーも、ものすごい人間ドラマが描かれている。アニメ化したい、って感じました」と、一目惚れだった。 アニメ化する作品選びは、どの枠で放送するか、によって左右される。永井さんが担当していた枠は、全日帯全国ネットの枠。その枠に相応しい作品があるか、視聴率がとれる作品であるか、を踏まえて、マンガ雑誌をチェックしていく。「例えいい作品でも、深夜アニメと全日帯全国ネットのアニメは作品性が違うので、内容によって敬遠することもある」と、条件を満たす作品を見極めていく。 次に視聴率がとれる作品かどうか。「今の世の中、情報がどれだけ作品に入っているか、知的好奇心をくすぐるか、が重要になっていると思う。他にこれまでの作品と同じではない作品が求められる」。かつてマンガは『悪』の代名詞だった。“マンガばっかり見てないで勉強しなさい”と、どの家庭でも言われていた。しかし、「宇宙飛行士にこうすればなれる、という情報が入っている。『宇宙兄弟』を見た子供たちには、宇宙飛行士や宇宙関連の技術者を目指そうと考えるようになった子たちもいると思う」と、マンガ(アニメ)が視聴者の夢をけん引してくれている。