トランプ氏なお決心つかず、財務長官の人選混迷-完璧な候補を追求
(ブルームバーグ): トランプ次期米大統領による財務長官の人選はなお流動的な状況だ。トランプ氏はこれまでに面接した候補者について、完全には納得していないと周辺に話している。
ヘッジファンド運営会社キー・スクエア・グループ創業者のスコット・ベッセント氏、投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)、ケビン・ウォーシュ元連邦準備制度理事会(FRB)理事が依然として有力候補と目されている。ローワン氏は香港から駆けつけるなど、それぞれ20日にトランプ氏と面会したが、いずれの候補者についても、トランプ氏が指名を決断する決定打とはならなかった。トランプ氏のアドバイザーらは21日午前の段階で、次期大統領はまだ熟考中だと述べた。
プロセスに詳しい関係者らは、決定はいつ下されてもおかしくないと強調した。だが、ここまで長引いている状況は、財務長官人事がトランプ氏の経済政策にとっていかに重要かを浮き彫りにする。また、トランプ氏が候補者に対して厳格な要件を求めていることもうかがわれる。
トランプ氏は、ウォール街に支持され、相場浮揚に寄与する候補者を望んでいると側近らは考えている。だが同時に、広範な新規関税の導入や暗号資産(仮想通貨)の推進を望む支持者らの信頼も維持できる人材を求めているという。忠誠心があり、テレビ映えし、裕福であるというトランプ氏がかねて求めている条件もある。
トランプ氏はまた、従来の政府人事に求められる資質は悪影響をもたらしかねず、財務長官のポストを必要としない富裕で革新的な人物を好むことも示唆している。協議に詳しい関係者によると、検討を重ねる中で、残った候補者リストの誰一人として完璧な人物は見当たらず、2期目の政権陣容で大きな穴が空く事態となっている。
第1次トランプ政権で駐日大使を務めたハガティ上院議員(テネシー州)はダークホース候補と目されてきた。今週初めにはパームビーチで時間を過ごしたほか、トランプ氏の専用機でテキサス州に移動して、イーロン・マスク氏率いる米宇宙開発企業スペースXによるロケット打ち上げの視察にも同行している。