片岡凜が感じた『海に眠るダイヤモンド』の“リアル” 自身の成長を感じたアドリブ秘話も
「どれだけ役のことを考えられているか」は常に頭の中に
――千景に関して、脚本を読んで「こういうキャラクターなんだ」とご自身の中で気づきがあったポイントも教えてください。 片岡:やっぱりホスト通いがバレた後の場面ですね。両親に反抗的な気持ちがありつつも、ちょっと反省していたり。そこの小さい揺れ動きは脚本にもたくさんあったので、台本を読んでいて「かわいらしいな」と思いました。 ――現場の雰囲気はいかがですか? 片岡:すごく温かくて、キャストのみなさんをはじめスタッフさんも本当に気さくに接してくださるので、お芝居をしていても、カットがかかっても、自然に時間が流れている感じがします。 ――主演を務める神木隆之介さんの印象は? 片岡:お会いする前はちょっとミステリアスな方だなという印象があったのですが、実際にお会いしたらすごく柔らかくて、お芝居も柔軟な方だなと感じました。セリフ通りではないアドリブだったり、台本に書いていない部分ですごく大胆にお芝居されているように思います。 ――撮影の合間に、何かお話しされましたか? 片岡:お話はまだそんなにしていないんですけど、カットがかかるとパッと人が変わる印象はありますね。「あれ?」って思います(笑)。まとっているオーラが別人になるので、切り替えが本当にすごいなと思って見ています。 ――ちなみに、片岡さんがアドリブを入れることも? 片岡:セリフではなく、動きはありますね。第8話あたりで尾美(としのり)さんとガッツポーズのように拳を合わせていただいたり。小道具を使ったりしながら、自由にやらせていただいています。 ――『石子と羽男』のインタビューの際には、「有村架純さんと中村倫也さんのアドリブは、役を理解しているからこそできること」といったお話をされていました。 片岡:役をわかっていないと、台本に書かれていないところまで毎回しっかりとは反応できないと思うんです。今回の役は比較的柔軟なのでやりやすいですけど、アドリブをするときに「どれだけ役のことを考えられているか」は、常に頭の中に置いています。 ――とくに思い出に残っているシーンはありますか? 片岡:大学で(荒木鉄平について)リサーチしているときに、千景がアイスを持っているシーンがあって。脚本にはアイスを誰が誰に渡すといった細かいところまでは書いていなかったので、星也役の豆原さんに「どっちがいい?」とアドリブで聞いたら、スッと対応してくださったのがすごく楽しかったです。 ――片岡さんご自身から自然と出たアドリブだったんですね。 片岡:現場に行ったらアイスがあったので、「あ、やろう!」と思って(笑)。チョコと抹茶があって、抹茶が欲しかったけど取られちゃいました(笑)。 ――(笑)。本作はベテラン俳優の方もたくさん出演されているので、刺激を受けることも多いのではないでしょうか。 片岡:そうですね。みなさんお芝居をしているのに、していないように見える。ご一緒させていただいて、すごく勉強になっています。 ――とくに印象的だった撮影は? 片岡:第3話にいづみさんの自宅でご飯を食べるシーンがあって、玲央がホストのコールをするんです。台本上は千景が乗る予定はなかったんですけど、現場で乗ることになって、それをやった瞬間に美保純さんがものすごい睨みを効かせてきて(笑)。そういうちょっとした裏芝居から役の理解度が深まってくるなと感じて、すごく印象に残っています。 ――千景が乗るというのは、どういった流れから? 片岡:監督が「やってみようか」とおっしゃったので、やってみました(笑)。でも、私としてもきっと千景は乗るだろうなと。そうやってみなさんのお芝居を受けることで起こる化学反応は、台本を読んでいるだけでは想像できない部分なので、すごく楽しいです。 ――SNSを拝見していても、片岡さんは人生を楽しく生きている印象があってとても素敵です。 片岡:本当ですか?(笑)。でも、小さな頃に父が教えてくれた言葉があって、「いいか、この世界は地獄だと思えば地獄だけど、天国だと思えば天国になる」と。「お前の見方一つでどうにでもなるよ」と言われたのが印象的で、それはずっとどこかで意識しているかもしれないです。日常を生きる中で落ち込むこともたくさんあるので、父のその言葉にはすごく勇気をもらっています。 ――以前のインタビューで「人の心を動かせるような女優になりたい」というお話もありましたが、そういった声も片岡さんのもとに届いているのではないでしょうか。 片岡:中学生や高校生の女の子からよくメッセージが来るんですが、朝ドラ以降は「凜ちゃんのお芝居を観て救われた」といった声をいただくことが増えました。それは私にとって、すごく大きいですね。ずっとそこを目標にしていたので、もちろんまだまだなんですけど、ちょっとでも叶えられてきているのかなと思えて嬉しいです。 ――この作品は“お仕事ドラマ”の側面もありますが、最後に片岡さんが今思う、働く意味についても聞かせてください。 片岡:最終的に、それを見出すためにやってるのかな、という感じがしています。今はまだ、この仕事を始めて3年目という駆け出しの時期。まだまだ語れるところにはいないので、いつかそれを見つけ出したいなと思っています。
nakamura omame