愛猫3匹の形見が「膝掛け」に 日々のブラッシングで集めた毛糸35玉 少しゴワゴワだけど…懐かしい温もりと迎える冬
猫チャンを飼っておられる方々で、猫チャンのヒゲやモフモフの抜け毛を集めて保管しておられる方は多いかと思います。考えたくはないけれど、猫チャンが亡くなったときの形見に…ということで。 【写真】猫チャンの毛で出来上がった毛糸…「何か編んでもらおう」と、やっと決心がつきました 私が以前、モフモフ長毛猫3匹を飼っていたときは、特に初夏、それはもう、ものすごい量の被毛が抜けました。3匹ともシルバータビーだったので、3匹の毛を一緒にまとめて煎餅のカンカンに入れて集めていました。鼠色の猫毛の塊は、どんどん量が増えました。毎年、初夏になると毎日ブラッシングしなければ家中が猫毛だらけで、リビング床の隅っこにはマリモのような毛玉がごろごろ転がっているような状態でした。朝、私が目覚めたときにまずすることは、顔に降り積もっている猫毛をそっとつまんで取り去ることでした。 あまりの毛まみれに、夏は3匹ともサマーカットにしていました。勤務先の病院に3匹を連れて行くと、同僚に「また夏が来たか!風物詩やね」と言われました。休憩時間に丸刈りにするのですが、新米の動物看護師さんたちにも手伝ってもらいました。動物看護師さんたちが犬猫にバリカンをかける練習台になってもらっていた訳ですが、あるとき新米の動物看護師さんがバリカンをかけた後は、猫の細くてゴツゴツしている足首が血だらけになっていました。 猫毛の塊だけをたくさん集めてもなんですので、私はこれを毛糸にすることを思いつきました。毛糸にしていただけるアトリエを探して相談させていただきました。そのときに、猫の毛糸はゴワゴワして肌触りも悪く、型崩れも激しいので、半分羊毛を混ぜることを提案されました。なるほど。猫毛が羊毛よりも性能が優れていたら、今頃、みんなのセーターは羊毛じゃなくて猫毛で作られていたはずですよね。 そして、猫の毛糸は35玉出来ました!費用も時間も相当かかりましたが、その毛糸玉を触るとうちのモフモフ猫の様でした。以来、何年もの間、毛糸のままで保存していました。やがて、3匹がだんだんと亡くなっていき、最後の1匹も3年前に亡くなりました。今年、やっと、ついに、この毛糸を使って何かを作っていただくことに決めました(自分では編めません…ごめんなさい)。近くに編み物が出来る方がおられたので、決心できました。出来上がったのは膝掛けです。確かに、羊毛よりも重く、ゴワゴワしていますが、触ると、昔飼っていた猫達のことを思い出しました。 この冬は、モフモフのひざ掛けにくるまって、昔の思い出に浸ろうと思っています…。 ◆小宮 みぎわ 獣医師/滋賀県近江八幡市「キャットクリニック ~犬も診ます~」代表。2003年より動物病院勤務。治療が困難な病気、慢性の病気などに対して、漢方治療や分子栄養学を取り入れた治療が有効な症例を経験し、これらの治療を積極的に行うため2019年4月に開院。慢性病のひとつである循環器病に関して、学会認定医を取得。
まいどなニュース