「顔まで晒して誹謗中傷が生じた」教師が女子生徒を触る動画拡散 教師を懲戒処分した「私立高校」は投稿者も法的措置へ
●「女の子の人生なんだと思ってんの」投稿の法的問題点【弁護士見解】
今回の投稿を受けて、SNSでは教師の行動を批判する声も上がる。しかし、女子生徒の顔まで公開したことに、「女子生徒の周辺の友人や同級生は、このポストを見て容易に個人を特定できるだろう」「SNSで拡散する必要ないでしょ。女の子の人生をなんだと思ってんの」と投稿者の行動を疑問視するものも少なくない。 インターネットの問題にくわしい清水陽平弁護士は「教師を名指しで『痴漢をしている』という指摘がされている点で、教師の社会的評価が下がると言えることから、名誉毀損の問題が生じる」と指摘する。 「ただし、投稿には、公共性や公益目的があると思われることや、動画で、生徒の体に触っているという指摘自体は真実であり、生徒が嫌がっている様子もないように見えます。そのため、『痴漢』という指摘が適切かはわからないものの、その指摘に違法性がないと判断される可能性は高いと思います」 今回のケースでは、動画によって、教師と生徒の容貌が判別できる形で公開されたことから、肖像権の問題も生じる。肖像権は「受忍限度」を超える場合、つまり、我慢すべき程度を超える侵害があった場合に問題となる。 「生徒との関係などを踏まえると、教師の行為は適切でない、とはいえます。しかし、仮に生徒の同意があるのであれば、あえてSNSに公開するのではなく、学校に通報するだけでも良かったとも考えられます。教師の受忍限度を超える侵害があるとされる余地はあると考えます。 生徒についても、当初の動画では容貌が確認できるものだったであったようであるため、肖像権の問題が生じます。また、未成年であり、仮に『痴漢』されていた場合には通常、被害者の情報まで晒すのはどうかといった配慮があることなども考えれば、受忍限度を超える侵害があるということになると思います」 【取材協力弁護士】 清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第4版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。 事務所名:法律事務所アルシエン 事務所URL:https://www.alcien.jp