近視は万病のもと!近視だと「発症率845倍」に跳ね上がる病気とは?
● 白内障、緑内障、網膜剥離… 目の病気を引き起こすリスク 「視る投資」を始めるとき、最初におすすめしたいのは「近視」について、超シビアに認識することです。 「近視」とは、近くは裸眼でも視えるけれど、遠くはメガネがないとよく視えない状態です。かつて、近視は「日本人を含め東洋人に多い」とされましたが、近年は世界中で急速に増えてきています。 オーストラリアの視覚研究所は、2010年に約20億人だった近視人口が、2050年には世界人口の約半分の50億人になると予測しています。 しかも、そのうちの9億3800万人は失明リスクの高い「強度近視」になるとも予測されています。 近視人口が、なぜそんなに増えたのかというと、主な原因はスマホやゲーム、勉強などによる近見作業(手を伸ばした範囲内を視る作業)の増加だといわれています。 「でも近視って、メガネでいくらでも矯正できるでしょう?」 そんな声をよくいただきます。確かにそうともいえますが、投資的な観点でいうと近視は“弱み”になってしまいます。なぜなら、白内障、緑内障、網膜剥離といった目の重たい病気を引き起こすリスクが高いからです。 ではいったいどうすれば、近視は治るのでしょうか。 残念ながら、近視を完全に治すのは難しいことです。 ただ「今以上にひどくならないこと」、そして「近視の進行速度に歯止めをかけること」は可能です。 これからご紹介する「目への投資」の数々を、同時並行で習慣化してみてください。 投資にたとえると、資産を目減りさせないように、将来のリスク因子をあらかじめ減らしていくイメージです。不安材料を減らすためのアクションを積み重ねることで、「自分の目は大丈夫だろうか」という漠然とした悩みから解放されるはずです。
● 近視は「万病のもと」 発症率が845倍のケースも では具体的なデータをお伝えしていきますね。 近視のレベルは3段階に大別されています。メガネの処方箋やコンタクトレンズのパッケージなどに明示されているので、ご自身のレベルを確認してみてください。 ・軽度の近視……「-3」まで ・中等度の近視……「-3」から「-6」まで ・強度の近視(強度近視)……「-6」よりもマイナスの値 ■白内障について 白内障は目の「水晶体」が濁ることで発症します。 水晶体はタンパク質でできています。透明な卵白が熱で白く固まるのと同じで、一度濁ると元の状態には戻りません。 白内障は「年をとれば誰でもなる病気」というイメージが強いかもしれません。 しかし、近視がない人を1とした場合、軽度の近視がある人は1.56倍、中等度の近視がある人は2.55倍、強度の近視がある人は4.55倍、白内障になりやすいことがわかっています。 ■緑内障について 緑内障は、日本人の中途失明原因の第1位です。若い人にはなじみがないかもしれませんが、視力が末期まで落ちないまま、視野(視える範囲)が徐々に欠けてくる厄介な病気です。つまり発症に気づきにくいということです。 点眼薬で悪化を食い止めることはある程度可能ですが、放置して悪化した場合は元に戻せず、失明へと向かいます。近視がない人を1とした場合、軽度の近視があると3.2倍、中等度の近視で4.2倍、強度の近視がある人は7.3倍、緑内障になりやすいことが明らかになっています。 ■網膜剥離について 網膜剥離とは、目の奥の「網膜」という膜がはがれる病気です。これも放置すると失明へと至ります。近視がない人を1とした場合、軽度の近視があると3.15倍、中等度の近視で8.74倍、強度の近視がある人は12.62倍、網膜剥離になりやすいとされています。 さらに「近視性黄斑症」という病気もあります。 眼球の壁が引き伸ばされた状態で、黄斑の網膜にスキマができたりはがれたりして、視力が低下する病気です。近視がない人に比べて強度の近視がある人は845倍もなりやすいといわれています。 つまり、近視の度合いに応じて、病気の発症率が明らかに上がっていくことが検証されています。近視とは「万病のもと」なのです。