【韓国ドラマ】芸に身を捧げた女性のドラマチックな人生
日本における韓流ブームの立役者で韓流エンタメのスペシャリストである田代親世さんが、韓国ドラマの魅力をさまざまな切り口でご紹介!今回は、現代ではない時代を背景に、芸に生きる女性たちの姿を描いたドラマをセレクト。芸事に打ち込む姿は、見る者の心を大きく揺さぶる。 韓流名作ドラマ「芸に生きる女性たち」3選(画像)
実在した妓生のドラマチックな人生 『ファン・ジニ』
このドラマは16世紀、朝鮮随一の妓生(キーセン)として名をはせた、実在したファン・ジニのドラマチックな人生を描いた作品です。“酒席で男性の相手をする女”という妓生のイメージを完全に脱し、このドラマでは、詩の才能に秀で、優れた踊りで多くの人々を魅了し、執念ともいうべき芸への情熱を注いだ1人の芸術家としてのファン・ジニの生き様が描かれていきます。 芸ごとに魅せられた少女が、その情熱で才能を磨き、2つの大きな愛を体験しながら、師匠との愛憎入り乱れた葛藤を繰り広げます。私は芸に生きる人の厳しさが好きなので、ファン・ジニの師匠が芸妓の心得を説くセリフの一つ一つがツボで、風雅で珠玉のせりふの数々には胸が高鳴りました。ファン・ジニとそのライバル、そしてそれぞれの師匠たちのライバル関係も交えて、全身全霊を芸に捧げて生きている女たちの凄味、気迫に圧倒されます。
そしてファン・ジニを取り巻く男たち、初恋の相手を演じたチャン・グンソクのピュアなすがすがしさと、大人の恋を結ぶキム・ジェウォンの愛のかたちが、好対照で面白いんです。個人的にはキム・ジェウォンが演じたキム・ジョンハンの、女性の才能の成就のために、自分を犠牲にし、必死に気持ちを抑え、押し付けがましくなく、一歩引きながらも相手を深く想っている姿が良かったです。見ていて熱い感動がこみ上げてくる、そしてものの哀れを感じさせるような、非常に見ごたえのある傑作です。 ■U-NEXTにて配信中 TEXT BY CHIKAYO TASHIRO 田代親世 韓流ナビゲーター 韓流解説、韓流イベント司会の第一人者。公式サイト「田代親世の韓国エンタメナビゲート」やYoutube「ちかちゃんねる☆韓流本舗」「韓ドラ・マスター親世と尚子の感想語り」などで韓流情報を発信しているほか、会員制のコミュニティ【韓流ライフナビ】を主宰。ツアーやイベントを企画・開催している。