事業承継、最大のハードル「税金」 高齢化する経営者、急な世代交代で不要な納税をしないためには
中小企業の事業承継について専門家とともに学ぶ「サクセッションアカデミー」(主催・一般社団法人サクセッション協会)が5月8日、東京都銀座及びZOOMによるオンラインで行われました。今回は、「事業承継の法的・税務上の基本事項」をテーマに、事業承継において最大の課題の一つである「税金」に関わる知識を学びました。専門家は、法的・税務的な知識がなければ事業承継時に本来なら必要のない税金を支払ってしまうなどのリスクがあると指摘しました。 事業承継の成否を分ける「資産評価」
◆「2025年問題」に備え、専門家による「事業評価」を
サクセッションアカデミーは、事業承継が抱える課題を浮き彫りにし、企業の持続可能な成長へと導くことを目的として設立されました。 メガバンク出身の同協会代表理事、原健太郎氏と、外資系企業で約30年以上にわたりコンサルティング業務を経験した同協会フェローの中山良一氏が講師を務めます。 日本の経営者は世代交代が進まず高齢化しており、急な相続リスク(亡くなる)に直面する可能性も高まっています。 原氏は「事業承継を相談したいが、信頼関係のない専門家には話しづらい」と多くの経営者が抱えるジレンマを指摘。 また、M&A専門家に相談するとすぐに「売却」を提案される可能性が高い現状も述べました。 中山氏は「企業の健康診断」というイメージで自社の事業評価をする必要性を強調しました。 弁護士や税理士など、各分野の専門家に評価を依頼することで、自社に有利な法律や制度の適用が可能になると述べました。 資産(主に不動産)に偏りがちな日本の事業評価ですが、技術力や知的財産も重要な価値になるといいます。 原氏は「相続税がかからない場合もあるため、相続に詳しい税理士に相談すべき」とし、事業承継税制に詳しい税理士なら最新の税制を適用し、さまざまな対応が可能だとしました。
◆事業承継の成否を分ける「資産評価」
自社の事業評価は欧米と日本では異なると、原氏と中山氏は説きます。 原氏は「資産評価が事業承継の成否に直結する」とし、バブル期に購入したゴルフ会員権の価値が低下していることを例に挙げ、事業承継時に正確な資産査定をすることの重要性を指摘しました。 また、中山氏は「知的財産権の評価も重要」と述べ、日本の中小企業が特許を持っている場合、価値を顕在化して資産として管理することが大切だと強調。 知的財産権の価値評価には、税理士や弁護士、弁理士など専門家の評価が不可欠だと話しました。 サクセッションアカデミーは、会社経営に関わる人や事業承継に興味を持つ創業希望者なら、誰でも参加可能です。 詳しくは「賢者の選択サクセッション」ホームページから。
取材・文/松田謙太郎