老朽化が激しい埼玉県庁 どうなる建て替え場所 「現在地より移転」望む声多数 深層リポート
■手挙げる自治体なし
こうしたことから県は6年7月、「現在地での建て替えと移転はどちらがよいか」などについて、県民向けのインターネットアンケートを実施。2720人が回答している。結果は「移転」が42・9%、「建て替え」が34・9%、「どちらでもよい」が19・4%だった。
ただ、「移転」との回答は県北部や秩父地域など現在の庁舎から遠い場所に住んでいる人からのものが多く、県は「住んでいる場所の近くに県庁舎があるといいと考える傾向がある」と分析している。
また、移転する場合には新たに用地を取得する必要がある。そこで県は10月、県内自治体に①自分の自治体に県庁の移転を希望するか②その場合、移転用の用地を提供する気があるか-などを尋ねる文書を送付。しかし、これまで返答はゼロで、移転場所となることを希望する自治体は現れていない。
◇
■埼玉県庁舎
さいたま市浦和区の現在の場所の庁舎は明治2(1869)年に設置された浦和県の県庁舎がルーツ。4年に浦和県と岩槻県などと合併し埼玉県となった後もそのまま使われた。浦和県庁舎が置かれる前は「詳しい資料はないが、畑だったのではないかとされている」(県担当者)。昭和23年に火事で旧庁舎が消失。一時は仮庁舎などで執務にあたっていたが、26~30年に現在の本庁舎が4期にわけて建設された。
■記者の独り言
新聞記者になって最初の赴任地が埼玉県だった。当時の県庁舎への感想が「古くて寒い建物だなぁ」だったことを覚えている。あれから約30年。縁あってまた埼玉に赴任したが、とっくに建て替えていると思っていた県庁舎が以前のままだったのは驚いた。古すぎる庁舎では職員のモチベーションにもかかわるだろう。庁舎建て替えは多額の費用がかかるだろうが、それでも必要だと思うので早めに実現してほしい。(半田泰)