ソフトバンク柳町達が成長感じた「重苦しい中で打てた1本」勝負強さ開花した〝サヨナラ男〟
ソフトバンクの選手が今季を振り返る年末恒例プレーバック企画「鷹戦士あのプレー」。第4弾は柳町達外野手(27)だ。プロ5年目の今季は出場73試合にとどまるも、打率2割6分9厘、4本塁打、40打点をマーク。得点圏打率3割8分7厘を残し、2度のサヨナラ打を放つなど勝負強さが光った。そんな柳町が一番印象深い試合に挙げたのは、リーグ優勝目前に迫った9月21日の楽天戦(みずほペイペイドーム)だ。 ■「あの小さかった真凜ちゃんが…」秋山幸二さん長女が花嫁姿【写真】 優勝マジックナンバー「4」で迎えたこの日、柳町は「チーム内に気持ち悪い雰囲気があった」と振り返る。前日のオリックス戦は白星を挙げるも、その前の2位日本ハムとの2連戦は連敗。8月6日にマジック「36」が再点灯して以降、同一カード負け越しも増えるなど、思うようにマジックが減らなかった。 この試合も8回まで5度(うち1回は山川穂高がソロ本塁打)、先頭打者が出塁するも後続がつながらない。ただ、1点ビハインドで迎えた9回にドラマが待っていた。 先頭の今宮健太が右前打で出塁すると、犠打と敬遠で1死一、二塁。代打・中村晃が空振り三振に倒れ、あと1アウトで試合終了というところまで追い込まれたところで、慶大の後輩、正木智也に代わり代打で柳町が送られた。 「気合いを入れたじゃないですけど、その時期、僕自身もあまり思うように結果が出てなかったので」。3試合連続3番で起用されるなど、8月は打撃好調だったが、9月に入ってからこの試合前まで18打数2安打と当たりが止まっていた。 ただ、この打席は冷静だった。相手の守護神・則本昂大からフォークボール2球で追い込まれるも「1球1球確認できた」。3球目の直球を見送り、4球目のフォークをファウル。そしてカウント1ボール2ストライクからの5球目。外側の直球を捉えた。高々と上がった打球は左翼手の頭を越え、2人の走者が生還し、逆転サヨナラ勝ち。地鳴りのような大歓声の中、柳町は選手の輪の中でもみくちゃになった。「重苦しい中で打てた1本。あまり自分の思うような感じではなかったけど、それでもしっかり反応してあそこまで飛ばせた。調子が悪い中で打てたのは自信になった」。2位日本ハムが敗れて、優勝へのマジックは「2」となった。 今季は昨オフから取り組んできた長打力アップが実を結び、キャリアハイの4本塁打を放った。6年目を迎える来季はレギュラー奪取と2桁本塁打を誓う。「投げミスしたら打たれると思うような打者になれば、投手もプレッシャーがかかって四球も増えると思うし、投げミスをしっかり打てれば本塁打も増えると思うので、そういう怖い打者になりたい」。毎年、着実に力をつける好打者が、強打者へと進化する。(大橋昂平) 【#OTTOソフトバンク情報】
西日本新聞社