不慮の事故から復活 生まれ変わったLEGO BIG MORL
LEGO BIG MORLが完全復活を遂げる。2008年のメジャーデビュー以降、さまざまな音楽に挑戦してきたが、2年前にギターのタナカヒロキが不慮のバイク事故でライブ活動の中止を余儀なくされる。しかし、“ケガの功名”によって新たな音楽性を創造する。複数回の手術、懸命にリハビリに取り組む仲間を待つ間、メンバーは新たな音楽性を追究。その復帰に合わせ、洗練されたサウンドを引っさげ、LEGO BIG MORLは新たなアルバムをリリース、そしてタナカヒロキの復活以来となる全国ツアーを敢行する。 今から約2年前、翌日に控えたライブの練習を終えて、バイクで帰宅中に悲劇は起こった。バイク事故を起こしたタナカヒロキは、意識の朦朧とする中「明日のライブ、どうしようか、と考えていました。痛み止めを飲めばいけるんじゃないかと」と、尋常ではない状況の中、ギターをいかにして弾くかを考えていた。 その5分後、奇しくも現場を通りかかったのがベースのヤマモトシンタロウ。交差点に横たわるタナカヒロキの姿を見つけ、ただただ焦った。「帰り道が同じで、バイクをみてすぐわかった。交差点の真ん中で動かないし、『死んでいたら、どうしよう』と思うレベルだった。生きていてくれて良かったですけど、ライブは無理や、とすぐ思いました」。すぐにスタッフ、メンバーと連絡を取り合って、翌日のライブをどう乗り切るかの打ち合わせが行われた。 タナカヒロキは病院に搬送され、すぐに集中治療室で手術を受ける。「病院の先生からは『日常生活ができる範囲に治すことができると思うけど、ギタリストがどういうことをやるのか分からないし、そこまで治せるかは、分からない』と言われました。ホンマに、リハビリしかすることなかった」と、先が見えない状況だった。骨折はなんとか治療できたが、感覚を失った右手の神経の手術で手こずった。「(ギターの)ピックを触っても、触った感覚がなくて、味わったことがないものでした。『これを治してほしい』と思いながら、(事故以来)2回目の手術を受けました」。タナカヒロキが復活の手応えを感じてきたのは、それからしばらくして。「仲間からもらったゴムボールを握ったり、リハビリをしたりして、感覚が少しずつ戻ってきました。そこで、やっと復活できると思いましたね」。 一方のメンバーは、完全に気持ちを切り替えていた。「復活を待つ間は、曲作りをやっていました。正直、『いつ披露するのやろ』と思ったこともあったけど、(タナカヒロキ)が治らんかったら、そのときに考えればいいって、思っていました。ほとんど、不安はなかったですね。(タナカヒロキの)モチベーションを上げてあげることしかできないので、曲を作って聞かせたりしてました」(ヤマモトシンタロウ)。 「不安は別になくて、最初に復帰できそうな予定は去年の9月って言ってて、それが12月になって、結果として1月になった。ケガは治りにくいんやなって思いましたけど、こんな時期だったからこそ、作れた曲があったりしたと思う。関係者の方には迷惑をかけてしまったけど、時間を有意義につかえた。LEGO BIG MORLに対して追求できた時間だった」(カナタタケヒロ)と、LEGO BIG MORLが生まれ変わるために必要な時間だった。