史上最大の乱高下も“新NISAに影響なし”担当政務官「今、日本は景気回復の入り口」エコノミスト「投資はマスト。積み立てるなら下げ相場から」
■株式市場と円相場の相関は エコノミスト「必ずしも相関はない。たまたま」
今回起きた株式市場の乱高下と、急に円高に振れたこととの相関を語る人も多い。ただこれも、専門家の目からすれば、そうとは言い切れない。エミン氏は「私は本格的な円高局面、例えば民主党政権の時代のような円高になると思わない。構造的に日本とアメリカの経済構造が変わっていて、日本は昔のようにすごく分厚い経常収支、貿易収支を出しているわけでもない。常に対米のデジタル赤字を抱えているわけだから、ものすごく円高に進むとは思えない。ただ、行き過ぎた分、例えば130円や140円前半ぐらいの為替は輸入企業にとっても輸出企業にとってものすごく居心地がいい。為替と株は必ずしも相関関係がない。たまたま一緒だった」と、今後大幅に円高に進む可能性も否定した。
■今後の見通しは「今、日本は景気回復の入り口」
かつてバブル崩壊といった経験もあるだけに、市場の下落については不安視する声がなくなることもないが、専門家たちから出る言葉は前向きだった。神田氏は「私は内閣府の経済対策や景気対策の担当もしているが、その観点から言えば今、日本は景気回復の入り口に差し掛かっているところ。これから投資が効いてくるし、実質賃金も27カ月ぶりにプラスに転じた。これから先数年かけてじわじわ景気回復の実感が回っていく」とした。またエミン氏も「この10年間で日経平均は4倍にもなっている。その間に上場企業の1株あたりの利益も4倍になっている。実にシンプルで上場企業の売り上げが増えて、利益が増えているから株が上がっている。私は今後も続くと思っている」と期待した。 ジャーナリストの佐々木俊尚氏は、バブル期から現在に至るまでの日本経済を振り返る。「日本人が乱高下に対して異常にパニックになるのは、バブルの頃に3万8000円ぐらいまで上がった株価がずっと下がり続けて、7000円ぐらいまで下がったのを見ているから。バブルの頃に20歳だった人間が今もう50歳で、メディアの人間だってもう全員が不景気と株価が下がる状況しか知らない。役人だって官僚だって、みんなそれしか知らないから、頭の中で株価はいつ下がるかわからない、永久に下がり続けるかもしれないという恐怖感に包まれている。株価は常に長期的に見れば上がってくるんだという認識を我々はもっと持つべき」と、強い負のイメージが刷り込まれているとした。 また専門家が明るい手応えを感じている理由についても触れ、「2020年代、それこそ令和に入ってから急に風も変わってきた。要因はいくつかあるが、海外メディアや海外エコノミストの基準で一番大きいのは、実は経営者の世代交代。50代、60代ぐらいの新しい世代の経営者に変わったことによって、ガバナンスや利益の出し方が全然変わり、グローバルスタンダードになったのはすごく大きい」と、国内企業が経営者の世代交代によって確実な力をつけ始めているという見通しも示した。 (『ABEMA Prime』より)