浜崎あゆみ「公演の当日中止」、ホテル代など「遠征費」まで補償してもらえるか? 弁護士解説
歌手の浜崎あゆみさんの公式サイトは9月11日、同日開催予定だった「TA LIMITED Thank U tour 2024」の福岡公演中止を発表した。 中止するのは、11日18時開場、19時開演が予定されていた「Zepp Fukuoka」の公演。公式サイトでは遅くとも同日13時ころにはアナウンスがあった。 中止の理由は、前日10日の公演中に発覚した「音響並びに演出機材の技術的なトラブル」だとしている。 「本日ただ今まで復旧に向けて調整対応を続けてまいりましたが、現時点でその目処が立たず、浜崎あゆみ及びスタッフ一同協議の末、直前でのご案内となり誠に申し訳ございませんが、本日の公演の開催を中止させていただくことにいたしました」(公式サイトから) また、振替公演やチケット払い戻しに向けた調整をしているという。 とはいえ、チケットをすでに買ったファンの中には、この公演を目的としてホテルを用意したり、遠方から移動した人もいただろう。 今回のように「直前中止」の事態が発生した場合、宿泊費や移動費まで主催側に求められるのだろうか。エンターテインメント業界の問題にくわしい河西邦剛弁護士に聞いた。
●免責条項は一応有効
――チケットを買った人は宿泊費や交通費などの費用まで主催者側に求められるのでしょうか チケットには、通常、契約内容として公演中止の場合の免責事項が記載されています。そして、公演中止時の宿泊費や交通費については損害賠償責任を負わないとする免責条項は法律上も一応有効と考えられます。 消費者契約法により、消費者の利益を一方的に害するような条項、たとえば事業者は一切責任を負わないという条項はそもそも無効になります。ただし、チケット代金すら返金しないとなると話は別ですが、諸費用の免責条項については一定の合理性はあり、免責条項が一律無効になることはないと思われます。 しかし、本件でどのような免責条項が規定されているのかは具体的にはわかりませんが、公演中止について、もっぱら主催者側に責任がある場合には、免責条項は適用されないでしょう。なので、実際に宿泊費や交通費を求めて裁判になった場合には、中止の具体的原因、つまりどの程度、主催者側に責任があるかが争点になると思われます。