「今年は違う」開幕ダッシュを決めた中日・立浪前監督の言葉に込められていた思い
強い、もしかして―。そう思わせてくれる開幕ダッシュだった。「今年は、去年までとは違う。やれることをやれば勝てる」。背水の就任3年目を迎えた立浪和義前監督(55)が4月2日の巨人戦(バンテリンD)のサヨナラ勝利後、興奮気味に放った一言だ。延長11回に細川がサヨナラ弾。本拠地開幕戦にふさわしいゲームだった。 同5~7日の広島戦では投手陣が3試合連続完封勝利を収め、9日のDeNA戦(横浜)の勝利で8年ぶりの単独首位に浮上。翌10日まですべて先行逃げ切りで勝ったが、1引き分けを挟んで迎えた13日は逆転で今季最長の6連勝とし、「今年は違うって言ってるでしょ」と誇らしげだった。 ところが、快進撃はすぐに止まる。直後に今季ワーストタイの5連敗を喫して急失速。5月4日には1か月足らずで最下位に転落した。4月3~17日にかけて球団記録に並ぶ12試合連続2失点以下と奮闘した投手陣も、得点力を欠く打線を支え切れなくなった。 「今年は違う―」。指揮官は舞い上がったわけでも、油断したわけでもないと思う。そうあってほしいと、願望も込めていたのではないか。3年連続最下位は目指した成績とは違うが、選手個人にスポットを当てれば、収穫もあった。 4年目の高橋宏は2年連続の規定投球回到達に加え、12球団トップの防御率1・38で、杉下茂が持つ2リーグ制以降の球団防御率記録を70年ぶりに更新。細川は2年連続で20本塁打を放ち、移籍によって完全開花した。投打の柱と期待される2人が、確かな成長を示した。 志半ばでチームを離れた立浪前監督。最終戦セレモニーでは「近い将来、必ず強いドラゴンズになってくれると思います」と、選手を信じ続けていた。絶対的守護神マルティネスが抜ける穴は大きいが、野手陣は細川のほかにも、岡林、村松、田中、福永ら、主力への成長が期待できる若手ばかり。来季こそ“違う”新生竜を見せてくれるはずだ。(中日担当・森下 知玲)
報知新聞社