平畠啓史チョイス“至極の11人”|ゲームを決めるゴールにアシスト。宇佐美貴史から目が離せない。三浦颯太は走り出しただけで見る者に期待感を抱かせる【J1月間ベストイレブン10月】
福田への絶妙ラストパスが素晴らし過ぎた
ボランチは広島の川辺駿と湘南の田中聡。川辺がカバーするエリアは尋常ではない広さ。ゴール前で守備をしていたかと思えば、相手ゴール前で攻撃に加わっている。かなりハードワークしているにもかかわらず、キックやドリブルの場面でプレーにブレがない。タフな仕事ぶりは広島の中盤に欠かせない。 球際の強さ、展開力に加え、34節・広島戦ではアディショナルタイムに逆転ゴールを決めた田中。頼りになるアンカーは3連勝した湘南の大黒柱として堂々の活躍だった。 中盤の右には鹿島の樋口雄太。新潟戦で2ゴール・1アシスト。鹿島の3点目、樋口の2ゴール目になるグラウンダーのボールを得意の右足で決めたシュートは見事。高精度の右足から放たれるシュート、パスは見応え十分だ。 左には2試合連続ゴールの京都サンガF.C.のマルコ・トゥーリオ。こぼれ球をボレーで仕留めたヴィッセル神戸戦。一人少なくなり厳しい状況の中で先制点を決めたサガン鳥栖戦。ディフレクションがあったとしても、そのボールがゴール方向に進んでいくシュートの強さとゴールに向かって行く強い意志。京都の攻撃にマルコ・トゥーリオの心身両面での馬力は欠かせない。 トップ下にはFC東京の荒木遼太郎。荒木だけが持つ瞬時のひらめきと、そのひらめきを可能にする技術。神戸戦での遠藤渓太への胸でのアシストやFKでの安斎颯馬へのアシストには荒木の魅力が詰まっていた。 そして、トップでMVPにはガンバ大阪の宇佐美貴史。33節・北海道コンサドーレ札幌戦、チームを逆転勝利に導くアディショナルタイムでの2ゴールは圧巻。プレッシャーのかかるPKを決めたのも見事だったが、その後ドリブルで2人かわしてからのゴールは鳥肌もの。 これだけでも十分だが、10月23日に行なわれた35節・名古屋グランパス戦でのG大阪の3点目。福田湧矢に出した宇佐美の絶妙ラストパスが素晴らし過ぎた。福田がニアにもファーにも打てるところに優しいパス。福田の未来の足もとにボールを置いた。 ゲームを決めるゴールにアシスト。見事なパフォーマンスはMVPにふさわしい。今シーズンの宇佐美のプレーからは目が離せない。 取材・文●平畠啓史