ガルウイングの「SL」!? 7000万円オーバーだったホスヒャート「B300」は11台しか生産されなかったレアモデルでした
300台生産のはずが……
フロントに搭載されるエンジンは、こちらもR129から移植された3Lの直列6気筒DOHC 24バルブエンジンで、ホスヒャートではさらにギャレット製のツインターボを装着。モーゼルマンの冷却システムや空冷式のインタークーラー、このモデルのために専用設計されたエグゾーストシステムなどを装備した。 結果得られた最高出力と最大トルクは、それぞれ320ps、400Nm。ツインターボによるターボラグの解消で、ワインディングでもつねにスポーティな走りを楽しむことが可能だった。なにしろ最大トルクの400Nmは、2000~5000rpmというワイドな回転数で発揮されるのだから。 1989年のフランクフルトショーで発表されたB300は、たちまち大きな話題を呼び、当時18万6000ドイツマルクとされた価格は、V型12気筒エンジンを搭載したSクラスより6万ドイツマルク以上高い数字だった。ホスヒャートはB300を300台生産する計画を立てるものの、実際に販売されたのは11台のみ。 今回RMサザビーズのミュンヘン・オークションに姿を現したのはそのうちの1台であり、2023年には総額で1万6216ユーロ(邦貨換算約263万円)相当の整備と7783ユーロ(同126万円)に及ぶペイント補修、そして4771ユーロ(同77万円)をかけたレザー修理と再カラーリングが施されたという。注目の落札価格は45万5000ユーロ(同7370万円)。 これはRMサザビーズの予想落札価格を15万ユーロ(同2430万円)以上も上回る数字で、ミュンヘン・オークション全出品車の中でも7番目にランクされる落札となった。
山崎元裕