孫に毎年お金を渡したら、年間「110万円以下」でも贈与税の対象に? 定期贈与の落とし穴について解説
定期贈与の落とし穴
毎年110万円以内の贈与であれば贈与税がかからないと述べましたが、例外があります。それが「定期贈与」にあたる場合です。 定期贈与とは毎年一定額を渡すことが決まっている贈与のことを言います。例えば1000万円を毎年100万円ずつに分けて渡すことを決めた場合は定期贈与に当たります。この場合、定期贈与の取り決めをした年に、贈与額の合計額に対して贈与税がかかります。 つまり、1000万円を毎年100万円ずつに分けて渡す場合は、定期贈与すると決めた年に1000万円に対する贈与税がかかることになります。 注意しておきたいのが、事前に定期贈与に当たる取り決めを結んでいなかったとしても、毎年同額の贈与を続けていると、後から税務署に定期贈与と見なされる場合があることです。 したがって毎年、子や孫にお金を渡したい場合は、定期贈与と見なされないようにお金の渡し方を工夫する必要があります。
定期贈与にならないために気を付けるべき3つのポイント
前述のとおり、毎年同じ額を渡し続けていると定期贈与と見なされてしまう場合があります。定期贈与と見なされないための3つのポイントをご紹介します。 ■毎年違う金額を贈与する 毎年同じ額を長期間にわたって贈与すると、「贈与の開始時に全ての金額を渡すつもりだった」と判断され、一括で贈与税がかかってしまう場合があります。そうならないよう、1年目は110万円、2年目は109万円といったように毎年渡す金額を変えることを検討しましょう。 ■毎年違う時期に贈与する 贈与する月日が毎年同じだと、定期贈与と見なされる場合があります。贈与の月日を毎年変更しましょう。 ■贈与契約書を作る 贈与を行った時に問題となるのが、「毎年110万円の控除内で本当に贈与が行われたのか」という点です。実際に贈与したという証拠を残すため、「贈与契約書」を作成しましょう。毎年違う金額を、違う月日に渡したことを証明するために、贈与金額と贈与年月日は必ず記載します。
まとめ
毎年同じ月日に同額の贈与を長い間繰り返すと、後になってから税務署に定期贈与と見なされ、渡したお金の合計金額に対して贈与税が課される場合があります。毎年違う額、違う月日に贈与を行い、贈与契約書を作成することが大切です。 出典 国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合 国税庁 No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税) 執筆者:沢渡こーじ 公認会計士
ファイナンシャルフィールド編集部