母校のコーチで戻ってきた、元・楽天ドラフト1位右腕がアナリストチームの結成を提案 学内公募で集まってきた1期生たち
データリテラシーを高めることも役目
一方で戸村コーチは、データが一つの要素でしかないことも伝える立場にある。「何事もバランス。気合と根性が求められる時もあるし、一瞬の判断では感覚が正しいこともある。そのことは踏まえておかなければなりません。選手たちは中学、高校の段階からたくさんの情報を持っている。ただしリテラシー、つまり、情報を正しく使える能力がない。その能力を授けてあげるのも、自分の役目だと思ってます」と口にする。 データ班強化の提案も、チームとして、個人として、データを活用していく中で、リテラシーも高めてほしいと考えたからだろう。 佐々木チーフは「これまではチームの勝利に直接関わっている実感がなかったんですが、データ班の長になってからは、大きく関わっている、グラウンドではないところで戦っていると思えるようになりました」と充実感に満ちあふれている。 今秋のリーグ戦ではグラウンドでも戦った。明治大学2回戦、佐々木チーフはリーグ戦初登板。七回からマウンドに立つと、自身と相手打線のデータを踏まえ、2イニングを無失点に。広島東洋カープが1位指名を公言した宗山塁(4年、広陵)も苦手コースを意識した投球でライトフライに打ち取った。 アナリストチームのスローガンは「創始」。春までは室内での分析作業に終始していたが、夏からはグラウンドに出て、選手とのコミュニケーションの機会を増やしている。戸村コーチの加入を機に、立教大は「データ野球」に力を入れている。
上原伸一