住宅ローンは「月12万円」を20年間と、「月8万円」で20年後に繰上げ返済のどっちがお得? それぞれの「総返済金額」を試算
住宅の購入は多くの人にとって人生で一番高い買い物になることでしょう。一括で購入できる人は少ないので、住宅ローンを利用している人がほとんどではないでしょうか。大きな金額が絡むため、返済方法を工夫しなければ最終的な返済金額に100万円単位の差が出てしまいます。 通常、月々の返済金額を大きくして返済期間を短くするほど、総支払額は小さくなります。具体的な例を挙げ、返済金額や繰上げ返済が与える影響をシミュレーションしてみましょう。 ▼年金が「月10万円」で老後が不安…持ち家で「貯金」と「退職金」があれば大丈夫? 生活費を試算
借入額2600万円で返済期間20年と20年後の繰上げ返済では約100万円の違いになる
2600万円を20年で返済すると仮定して、総支払額を計算します。ここでは元利均等方式、全期間固定金利を採用し、ボーナス返済などは考慮せず、毎月一定の金額を返済するものとします。 図表1の通り、2600万円を20年間で返済した場合、20年間の総返済金額は約2870万円です。一方で、2600万円を返済期間30年で完済しようとすると、毎月の返済金額はおよそ8万円で、総返済金額は約3010万円となります。また、20年後に繰上げ返済した場合、返済金額は約2962万円となるので、20年間で返済するよりも100万円ほど返済金額が多くなる見込みです。 図表1 借入金額2600万円 元利均等 金利は全期間1.0%のシミュレーション結果
住宅保証機構株式会社 住宅ローンシミュレーションより筆者作成
総返済金額を小さくすることが最善策とは限らない
毎月の返済金額を増やして返済額に対する元本の割合を大きくすれば、利息軽減効果が生まれ、総返済金額が小さくなることが分かります。ただし、総返済金額を最小にすることがすべての人にとっていいとは限りません。当然ですが、毎月の返済額を増やせば、家計に負担がかかり、生活が苦しくなる可能性があるからです。 それとは対照的に、毎月の返済額を抑え、定年退職時などまとまった収入が見込めるタイミングに繰上げ返済するほうが、総返済金額が大きくなったとしても、長期的な視点で見ると安全な返済方法になる場合もあります。