ヒットしない要素ばかりだった映画「ゼロ・グラビティ」 製作のデイビッド・ヘイマンに聞く
俳優は2人だけでモンスターも出てこない
こうした幾多の「逆境」を乗り越えて完成した本作品だが、ヘイマンは「ビジネス的に成功するか、正直言ってまったく想像がつかなかった。でもクリエイティブな意味では、素晴らしいものになるという確信があった」と振り返る。 この映画には、ヒットするには厳しい条件が幾つもあったという。例えば、登場人物が2人しか出てこない点。しかも40代後半の女性と50代前半の男性の2人だ。ヘイマンはさらに続ける。「モンスターは出てこない。女性一人で1時間くらい出っぱなし。しかもその人の顔は、(宇宙服の)バイザーの後ろ側にある。つまり、あまりよく見えない状態。マイクを通しての声なので声もちょっと圧縮されてしまう。これらのことすべてが、普通だったらダメだと言われる理由になることばかり」。 しかし、こうした「NG要素」が多かったにも関わらず、映画はヒットした。ヘイマンは、このことが非常に嬉しいという。そして、今後、こうした冒険的な映画作りに挑もうとする投資家ら映画関係者に、この作品の成功を思い出してくれたら、と語る。「こんなにダメだと思っていた要素がたくさんあるのに成功した。今までの『型』から外れることができるんだ、と考えてくれたとしたら、うれしい」。 最後に「ゼロ・グラビティ」が成功できた理由について語った。「アクションあり、スリルあり、そして宇宙という舞台があったから成功したと思うかもしれない。しかし、この映画が皆さんの心とつながることができたのは、主人公が逆境を越えながら、最終的には生きる意味を見つけることができたこと。それに反応してくれたのだと思う」。