韓国と中国、別れの途中【特派員コラム】
6月に韓国の大学修学能力試験(大学共通の入学試験)にあたる中国の大学入試「高考」に臨んだ受験生は1342万人だ。受験生たちは、点数に合わせて序列化された2900校あまりの大学に順番通りに入学する。中国の大学序列化は韓国より激しく、そのはしごの先端に中国最高の大学とされる北京大学がある。 先月、2024年度の新入生募集を行った北京大学に異例の現象が発生した。韓国語学科(朝鮮語学科)とロシア語学科の2学科で志願者が定員に達しなかったのだ。両学科は毎年それぞれ10人前後の本科新入生を選抜するが、1300万人を超える受験生のうち、両学科を志願した受験者は10人にも満たなかったということだ。 ロシアは戦争中であることを考慮するとしても、韓国語学科はなぜこれほど人気がなかったのだろうか。中国の知人数人に聞いてみたところ、就職が原因だという回答が返ってきた。受験生と保護者が、韓国語を専攻しても生計を立てるのが容易ではないと判断したのだろうということだ。 中国経済が発展するにつれ、中国における韓国の地位は急速に低下した。自動車、家電、化粧品、衣類などの分野で韓国製品が歓迎されたのは昔話で、高高度ミサイル防衛(THAAD)問題やコロナ禍などを経て、両国は急速に遠ざかった。2022年に政権に就いた尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の対米偏向外交と中国に対する強硬発言は、両国関係をさらに冷え込ませた。在中国韓国人の集住地区である北京の望京では、最近は韓国人をなかなか見かけられない状況だ。 このような現象は、鏡に映したかのように韓国でも同様に発生した。一時は英語塾を脅かした大規模な中国語学習塾が、2010年代末から次々と閉校し、大学でも中国文学科や中国語学科を廃止したり、他の学科と統廃合する雰囲気だ。韓国の受験生や保護者も、中国語を学んでも就職が難しいことをよく知っているのだ。 韓中交流が減り対立が強まる状況で、韓国語と中国語に対する専攻の需要が減少しているのだが、北京大学の韓国語学科の新入生募集定員割れは、少し違った衝撃を与える。中国の最上位のエリート層の韓国に対する無関心が、このような状況として表れたのではないかという懸念だ。 幸いなことに、中国で専攻としての韓国語の人気が低迷しているのとは違い、趣味としての韓国語の学習はかなり人気が高いということだ。1990年代に始まり30年近く続いているドラマ、歌、映画などの「韓流」の影響によるものだ。特に韓国政府が開設した北京の韓国文化院の韓国語講座は、20~30代の中国の学生や会社員に人気があり、受講申請はわずか数時間で数百人の定員が埋まってしまうほどだ。 しかし、韓国文化院には、中国人が持っているほどの韓国語教育への強い関心はないようだ。韓国文化院は2月の新学期の開始に合わせ、既存の韓国語講座を20講座から12講座に減らした。韓国から派遣される韓国語講師が2人から1人に減ったという理由によるものだ。異例の状況についての質問に、文化院長は「無料で教えているのだから、授業が減ることもある」と答えた。 2000年代前後には熱かった韓中関係が、わずか20年ほどでこれほど冷え込むと予想した人はいなかった。20~30年後の韓中関係がどうなるか予測することは不可能だ。そのとき、両国が対話する必要がある場合、これを通訳したり翻訳する人が足りなくなるのではないかと懸念される。 チェ・ヒョンジュン|北京特派員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )