『虎に翼』伊藤沙莉が“5人”の寅子に 轟「人間なんてそんなもんだ」に込められた思い
結婚に付随する問題に直面している寅子(伊藤沙莉)。『虎に翼』(NHK総合)第102話では、寅子が選択的夫婦別姓と同性婚に向き合う。 【写真】「人間なんてそんなもんだ」とる寅子(伊藤沙莉)に寄り添う轟(戸塚純貴) 結婚したらどちらかの名字が必ず変わらなければいけない。『虎に翼』が描いている時代では当たり前のことではあったものの、寅子はその法律に悶々としていた。冒頭では寅子の夢の中で、結婚する以前の猪爪寅子、戦時中の佐田寅子、裁判官となった佐田寅子、そして未来からやって来た星寅子という様々な時代のイマジナリー寅子が登場し、寅子の結婚に関する疑問に「はて?」を投げかけていく。「なぜどちらか一方の名字を名乗らなければいけないのか?」「なぜ星ではなく佐田にこだわるのか?」。寅子は自問自答を通してどうすべきなのか思い悩む。 そんな思いを抱えながら寅子が向かったのは轟(戸塚純貴)とよね(土居志央梨)の事務所。寅子は轟から男性とお付き合いしていることを告げられたときに、「結婚する意味を見出せない」と軽率な発言をしたことを改めて詫びた。轟は「そうか」とだけ語り、笑顔を見せた。 寅子は「自分ごとになるまでどちらかが名字を変えなければいけない意味について考えていなかった。そして男女の恋人のことしか考えていなかった」と打ち明けると、轟は再び笑顔で「人間なんてそんなもんだ」と優しく寄り添う。続けて、轟は昔から男らしさにこだわっていたこと、花岡(岩田剛典)に恋心を抱いていたことを打ち明けた。轟が花岡への思いに気づいたのは、よねの「私の前では強がらなくていい」という言葉だった。 もしよねがいなかったら、轟は現在も本当の思いに苦しんでいたのかもしれない。現在では広く議論されている同性婚の問題であるが、轟が生きる昭和30年代は異性と結婚するのが当たり前だった時代。そんな時代背景の中で、轟のように同性が好きという思いを隠しながら生きてきた人はたくさんいたのだろう。「じいさんになったとき、俺は心から幸せだったと言いたいんだ」と力強い眼差しで語る轟に、寅子は「ありがとう」と一言告げるのだった。