米美容ブランドたちが注目する「 割引販売 」。混乱の元か? 顧客獲得のチャンスか?
無許可割引販売のという問題も
ブランドのオフプライスの小売流通と価格設定は顧客の混乱を招き、その結果、ブランドは参入を躊躇する可能性がある。 たとえば、トゥーフェイスドのベターザンセックスマスカラ・イン・チョコレート(Too Faced Better Than Sex Mascara in Chocolate)が、マーシャルズでは14.99ドル(約2260円)だったのに対し、その近くにあるロサンゼルスのノードストロム・ラックでは同商品が定価の29ドル(約4360円)で売られているのを米Glossyは目にしている。 また同日、クリニークのドラマティカリー ディファレント モイスチャライジング ジェル(Dramatically Different Moisturizing Gel)のフルサイズは、T.J.マックスでは19.99ドル(約3010円)、近隣のノードストローム・ラックでは34.50ドル(約5190円)で販売されていた。また、TJXも量販店や専門店よりも安値で販売している。Glossyが見つけたところでは、メイベリン(Maybelline)のグレート ラッシュ マスカラ(Great Lash Mascara)が、アルタ・ビューティでは8.49ドル(約1280円)、ターゲット(Target)では5.99ドル(約900円)だったのに対し、T.J.マックスでは4.49ドル(約680円)で販売されていた。 これらのブランドや商品のすべてが、ブランドの許可や認識ありきでディスカウントチャネルで販売されているわけではない。それは、オフプライス小売業界のグレーマーケット商品だ。
偽造品や期限切れ商品の存在もリスク
スレート・ブランズ(Slate Brands)の創業者でCEOのジュダ・アブラハム氏によると、従来からディスカウントストアへの商品流通は、サードパーティの流通業者を介して行われているため、ブランド側は自社商品がどのようにディスカウントストアに並ぶのかを把握するのは困難だという。「トレーダー」とも呼ばれる流通業者は、商品を販売する法的権利を有しているが、ブランドの許可を得ていなかったり「正規販売者」ではなかったりすることもあると同氏は話す。 しかし、これは偽造品がディスカウントストアの店頭に紛れ込む可能性があることを意味する。さらに期限切れの商品は、すべてのブランドと直接取引している店舗よりも、ディスカウントチャネルでよく見かける。 「当社の商品ベンダーは、当社に供給する商品が正規品であり、適用されるすべての法律、規制および業界基準を遵守していることを保証している」とTJXのグローバルコミュニケーション担当アシスタントバイスプレジデントを務めるアンドリュー・マストランジェロ氏は言う。 「当社のバイヤーは、期限切れや破損した商品を故意に仕入れることはなく、使用期限の表記がある商品を見分けるよう指導されている」。