10%の食塩水を1000gつくるのに必要な食塩と水の質量は?
食塩水の濃度や往復の平均速度など、仕事などでちょっとした算数の知識が問われる場面に出くわして、ドキッとしたことはないだろうか。「昔は解けたのに……」、そう思うのに解けない。そんな大人たちは本連載で今一度、算数を基礎から学び直してみてはどうだろう。 【漫画】月500時間、時給340円…雇われ店長が明かす「過酷すぎるコンビニ勤務」 長年、算数・数学教育に携わってきた桜美林大学名誉教授・芳沢光雄氏の新刊『大人のための算数力講義』(講談社+α新書)より抜粋して、「算数の重要な考え方」をお届けする。 『大人のための算数力講義』連載第13回 『「2億円は50億円の何%か」…就活中の大学生ですら「25%」と間違えてしまう問題の正解は? 』より続く
食塩水問題
「濃度」について考えよう。濃度に関する代表的な問題は、食塩水についてのそれである。ところが、これに関しては、次のように間違える人達が少なくない。 なぜ、このような誤解が生じるのだろうか。それは、意味をしっかり理解するのではなく、正しい式を暗記するだけで済ませているからである。暗記したことを正しく思い出せる間は大丈夫でも、暗記したことをいったん忘れるとメチャクチャな状態になってしまう。 たとえば、「100gの水に10gの食塩を溶かすと何%の食塩水になるでしょうか」という質問をされると、 10÷(10+100)=0.090909…… 10÷100=0.1 と両方を一応考えてみる。 そして、「きれいに割り切れた0.1のほうが、きっと正解だろう」と思って、「答えは10%です」というように間違えてしまう。 それでは、正しい式を思い出すことができるヒントはないだろうか。それは、以下のように関連する事象を考えてみることである。 「秋田県における女性の比率は~%というとき、分子は女性の人数。もし分母が女性の人数ならば答えは100%。もし分母が男性の人数ならば、秋田県は女性の人数は男性のそれより多いから、答えは100%を超えてしまう。となると、分母は男性と女性の人数の合計だろう。そこで、食塩水の濃度は、比べられる量の分子は塩で、もとにする量の分母は塩+水である」