【医師解説】大腸がんの早期発見にもつながる「内視鏡検査」とは? 自覚症状がなくても受けるべき?
特に胃腸の痛みがない人が内視鏡検査を受ける時の注意点は?胃カメラ・大腸内視鏡検査時の痛みを和らげる方法はある?
編集部: 症状がない人が内視鏡検査を受けるときには、どんなことに注意すれば良いでしょうか? 末木先生: 繰り返しになりますが、定期的に検査を受けるのを忘れないようにするということです。症状がないとつい検査を受けることをおろそかにしがちですが、知らないうちに体内で病巣が育っていることもあるので、必ず定期的に検査を受けましょう。 また、親族が大腸がんになった場合には遺伝の可能性も考えられるので、そのような人も定期的に下部消化管内視鏡検査を受けることをおすすめします。 編集部: 「内視鏡検査は痛い、苦しい」という印象がありますが、どうしたらよいのでしょうか? 末木先生: 確かに、上部消化管内視鏡検査に関しては痛みというよりは苦しさがあると思います。個人差がありますが一般的には若い人ほど嘔吐反射が強い傾向があります。 ですが、内視鏡を受ける際に体位、呼吸の仕方、力を抜くタイミングなどポイントをおさえることで比較的楽にできることもあります。受ける際担当の先生とよく相談してください。 編集部: 下部消化管内視鏡検査が特に辛いと聞きます。 末木先生: 以前は下部消化管内視鏡検査の際に空気を入れて観察していましたが、最近は施設によって炭酸ガスと言って空気の200倍ほど吸収されやすいものを使うことでおなかの張りに伴う痛み、吐き気などがほとんどでなくなっています。 また鎮静薬を使用すれば、寝ている間に検査が終わり楽にできます。医療機関のなかにはそのような検査を行っているところもありますが、当然その薬によるデメリットもあるので、担当の先生によく確認してください。 編集部: そのほか、痛みを和らげる方法はありますか? 末木先生: 上部消化管内視鏡検査であれば、口からスコープを入れるよりも鼻から入れることで反射が起きにくく検査できます。また鼻から入れるような細い内視鏡を口から挿入することで、通常径のスコープと比較して楽に飲めることもあります。 下部消化管内視鏡検査の場合は、一般的には少量の空気で管腔を確認しスコープを進めますが、浸水法という空気の代わりに水を注入しながらスコープを入れる方法もあり、こちらの方が痛みは出にくいと思います。 編集部: 最後に、読者へのメッセージをお願いします。 末木先生: 内視鏡検査は大変ですが、同時に非常に大事な検査でもあります。比較的楽に受けていただければその後の検査への抵抗も減ると思いますし、その積み重ねが将来的な消化器がんによる死亡率の減少につながります。 ぜひ、担当の先生とよく相談していただければと思います。