「枯れては咲く」住み継ぐことのできる街へ 高蔵寺ニュータウンの今(下)
住民参加の「桃源郷プロジェクト」も
寺島さんの地元の「押沢台」では、当初のガーデンシティ構想にあった「おせっかい基地」のような場が新たにできるそうです。「あまり理屈っぽくなく、もっとラフで形式にとらわれない飲み会のような場からスタートすればいい。ただ、こうした新しい取り組みはニュータウン内でもやる気のあるところとないところに二極分化されている」。 こう指摘する寺島さんは、市民会議から派生して、県有地の一画に「コミュニティーガーデン」をつくる活動も進めています。 昨年の夏に初めてヒマワリの苗を定植。さらにハナモモを「桃源郷」のようになるまで植えようという壮大な構想の第一歩です。 苗の購入や管理費用には「花咲か基金」として寄付を募集。地元の子どもたちや若い世代も巻き込み、コミュニティーの再生や活性化につなげたいという思いが込められています。 枯れては咲く、花に包まれて住み続けられる街。それは『人生フルーツ』の津端さんが夢見た理想のニュータウンの姿に重なります。この「桃源郷プロジェクト」の成功が、高蔵寺再生の象徴となりそうです。 ---------- ■関口威人(せきぐち・たけと) 1973年、横浜市生まれ。中日新聞記者を経て2008年からフリー。環境や防災、地域経済などのテーマで雑誌やウェブに寄稿、名古屋で環境専門フリーペーパー「Risa(リサ)」の編集長も務める。本サイトでは「Newzdrive」の屋号で執筆