シティ、数十人に特別ボーナス-富裕層部門立て直すまでの引き留め策
米国で最大規模の富裕層向け事業を持つ銀行から業界の後進組への転身は異例の動きだった。
シティの富裕層向け事業は、2008年の金融危機後にリテール証券部門スミス・バーニーをモルガン・スタンレーに売却することで合意して以来、主要な他の銀行に後れをとっている。
ジーク氏がフレーザー氏と初めて会ったのは、2023年初頭で、両氏はシティの本社で朝食を共にした。それから1カ月もたたないうちにジーク氏はBofAに辞表を出した。
着任以来、同氏は現状を把握し、自身の新しいフランチャイズが世界一になる可能性があると公言している。
「私は現状をしっかりと見据え、このビジネスを成功させることができるという絶対的な自信を持ってこの役職に就いた」と語る同氏は「就任した日よりも、今の方がさらに楽観的だ」と述べた。
フレーザー氏は、かつて自身が経営していたプライベートバンクを含む3部門からなる富裕層向け事業に野心的な目標を設定した。2026年末までに収益性の指標である有形自己資本利益率を15-20%に引き上げるというものだ。7-9月(第3四半期)は8.5%だった。
ジーク氏は昨年10月の入社以来、香港、リヤド、パリ、フィレンツェなど世界各地を飛び回り、350件以上の顧客とのミーティングを実施。より迅速に戦略の練り直しや問題への対処を行うため、世界中の経営幹部26名で構成される諮問委員会を立ち上げた。
同氏の最優先課題の一つは、プライベートバンク顧客に、投資資産のより多く同社に移管してもらうよう説得することだ。
そのためには最上級のサービスを受ける資格がある富裕層でも、資産の大半を他の金融機関で管理している顧客に対して、待遇を格下げするなどより厳しい対応を取ることもあり得ると、事情に詳しい関係者が述べた。
同時に、口座開設にかかる期間を数週間から数日に短縮した。これらが奏功し、ジーク氏によれば「四半期としてここ数年で最高の投資流入を記録した」という。