シティ、数十人に特別ボーナス-富裕層部門立て直すまでの引き留め策
(ブルームバーグ): 米銀シティグループは、富裕層向け事業を成長戦略の重要な一部と位置付ける準備を進めていたが、その裏では技術的な問題が次々と発生していた。
超富裕層の顧客は、競合他社に比べて見劣りする時代遅れのプラットフォームに不満を訴え、顧客担当バンカーたちも内心では同意していた。
ダラスを拠点とする2人の技術系幹部はこうした懸念を解消しようと、2年以上の歳月と10億ドル(約1500億円)以上の費用をかけてどのような成果を達成するつもりなのかをプレゼンテーションするために何度もニューヨークに飛んだ。
しかし残念ながら、ほとんど成果は得られなかった。
こうした行き詰まりの中、ジェーン・フレーザー最高経営責任者(CEO)は外部から最上級幹部を採用するという異例の手段に打って出た。バンク・オブ・アメリカ(BofA)のメリルリンチ・ウェルス・マネジメントを率いていたアンディ・ジーク氏だ。
フレーザー氏はジーク氏を新たに独立した富裕層向け部門の責任者とし、自身に直接報告させることにした。 着任から1年の間に、ジーク氏はマネジャーを解雇し、上級ポストを外部からの採用で埋め、顧客により多くの資金をシティに預けるよう迫り、テクノロジーアップグレードをあらためて推進した。
ジーク氏のチームは今年、業績が回復するまでの間の退職を食い止めるため、数十人の行員を対象に特別な引き留めボーナスを承認した。最近の業績は効果が出始めていることを示していると、同氏がインタビューで語った。
ジーク氏(57)はインタビューで、「これは成長戦略だ」と語った。自身が任命される前は「統一された富裕層向け戦略はなく、何を達成しようとしているのかについての経営理念も必ずしも存在していなかった」と振り返った。
シティの他の部門の上級幹部の1人はジーク氏を、必要なときに駆けつけた援軍にたとえ、前任者よりも洗練されたビジョンを持っていると示唆した。