パリ五輪を糾弾したギリシャ紙、仏メディアから非難浴びるも閉幕後にあらためて“10の過ち”を指摘「成功に終わった? 絶対に違う」
パリ五輪が閉幕してもなお、ギリシャ紙『Ethnos』の怒りは収まらないようだ。同紙は大会期間中に、「フランス人よ、恥を知れ! われわれはここ数十年で最悪の五輪を見せられている」とパリ五輪を糾弾。フランス選手が審判に優遇され、ギリシャ選手が敗れたとされるフェンシング競技や、同じくギリシャ選手がフランス選手に不当に敗れたと主張する柔道などを例に挙げ、さらに汚染されたセーヌ川で競技を強行した大会組織委員会を非難した。 【画像】スケボー男子ストリートで銅メダルを獲得したナイジャ・ヒューストンが、メダルの劣化を報告 この報道後、複数の仏メディアから批判の声を浴びたものの、同紙はさらにやり返した。大会後にあらためてパリ五輪の批評記事を公開し、「大会は成功に終わった? 絶対に違う。閉会式がどれほど壮観で完璧だったとしても、パリ五輪主催者の醜さをカバーすることはできない」として、“パリ五輪の10の過ち”を指摘した。 ひとつ目が「セーヌ川の汚染」で、「泳ぐ環境になく、なぜアスリートを大腸菌まみれにしなければいけなかったのか」と非難。2つ目は「未熟な運転手」とし、「何百人ものバス運転手を地方から採用したが、数十件の交通事故や道の間違いがあった。彼らは道を知らなかったのだ。日頃パリでバスを走らせている運転手は、組織委員会と条件面で折り合いが付かなかった」と説明した。 3つ目が「飲料水の提供がない」点。「2004年のアテネ五輪ではジャーナリストにペットボトルウォーターが提供されたが、パリでは水飲み場が案内されるだけだった」とし、4つ目には「広報サービス」を挙げた。「ジャーナリストに対する大会広報の対応が、受け入れられるものではなかった。ある英国人記者は“くそったれ”と評価していたし、(ローマに本社を置く通信社)『IPS』の記者は“悲劇的だ”と言っていた」。 5つ目は「地下鉄」だ。「大会招致時には“観戦客は無料”とアナウンスされていたが、結局はアナウンスだけだった。実際は大会期間中だけ2倍(2.1ユーロから4ユーロ=約650円)の値段になった。さらに経路や構内で迷う人も続出。障害者用エレベーターの少なさも指摘しておくべきだ」。 6つ目が「ホスピタリティーの欠如」で、「道に迷ったのはジャーナリストや観戦客だけではなかった。ある小国の選手団は、競技場までの道が分からずに首都の通りを徘徊。そして試合で敗れた」と記している。 「選手村の不備」が7つ目で、「食堂の質がひどく、部屋の清潔さも不十分。イタリアの競泳選手トーマス・チェッコンは公園で安らかに昼寝をしていた」と記載。8つ目には「男子バスケットボールの決勝で優勝候補のアメリカにフランスが敗れたが、明らかにフランス有利の判定がいくつもあった」と、あらためて開催国チームの優遇を挙げた。フランス選手やチームに対する審判の判定に関しては、以前にも同紙は指摘していた。 9つ目が「メダルの劣化」について。「スケボー男子ストリートで銅メダルを獲得したナイジャ・ヒューストン(米国)が、メダルの品質に不満を表わした。ヒューストンは“まるで戦争に行って帰って来たかのようだ”と皮肉を込めた。主催者は傷んだメダルは交換すると発表した」と大会組織委員会の不手際を記した。 最後に挙げたのが、「観戦客への暴利行為」だった。「主催者だけでなくパリのプロフェショナルもメダルは獲得できなかった。観戦客へのぼったくりは仏紙『Le Monde』も取り上げた。あるカナダ人観光客は、テラス席で頼んだコカ・コーラ1杯が7ユーロ(約1100円)だったと嘆き、さらに警察官に道を尋ねたところ、“立ち止まるな”とフランス語で叫ばれたという」。 このように“パリ五輪の10の過ち”を記した同紙は、一方で「公正を期すために言えば、金メダルに値するのは、すべての競技場やスタジアムを埋め尽くした観客だ。時にはフランス選手・チームの対戦相手にプレッシャーをかけ、時には勝者を称賛。つねに力強く声援を送っていた」と、各会場を埋め尽くした観客に好評価を与えた。 続けて、「五輪という巨大な運営組織において、つねに誤りは指摘される。そしてフランスは政治的不安定のなかで、経済問題にも直面しながら最善を尽くそうとした。“成功しなかった”としても、重要なのは参加すること。それは五輪のモットーだ。私たちはフランス文化、パリの光の質、印象的な鉄の巨人エッフェル塔、皇帝ナポレオン、シャルル・ド・ゴール将軍、ヴォルテールの歴史、エディット・ピアフの声を評価するために五輪を待っていたわけではない」と記載。“成功しなかった”としながらも、一定の評価を下している。 最後に同紙は、「フランスは五輪があろうとなかろうと、世界の文化的な中心地であり続ける。かの哲学者ジャン=ポール・サルトルはこう言った。“もっといい時代があるかもしれないが、これは我々の時代だ”」と記した。 構成●THE DIGEST編集部
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