なぜ“虎の最終兵器”門別啓人はGT戦で屈辱6失点のプロ洗礼を受けたのか…本来のストレートを投げれなかった調整ミスと配球の問題
なぜ門別は3回で6失点という東京ドームの惨劇を演じてしまったのか。阪神OBで評論家の池田親興氏は、こう分析した。 「沖縄キャンプのブルペンで目を引いたストレートが見られなかった。球持ちの良さとボールの伸びが彼の長所だが、コースを狙いすぎて腕が振れずエンジンがかかってくる前に集中打を浴びた。ストライクを揃えすぎた点も集中打を切れなかったことにつながったと思う。坂本、小林は、いずれもカウント0-1からの2球目。もっとバッテリーは時間をかけてもよかったと思う。2人共に変化球を狙われていた。坂本への変化球の連投や長野への全球ストレート勝負など、相手に狙い球を絞りやすくさせた梅野のリードにも問題はあったのではないか」 さらに池田氏は、調整ミスを指摘した。 「長嶋茂雄DAYという特別な試合が醸し出す独特な雰囲気に加えて緊張やプレッシャーもあったと思うが、調整ミスだと感じた。阪神は先発陣が揃っていて門別が入り込む余地がなく、最初は中継ぎで投げ、その後にファームで先発調整もしてきたようだが、まだ2年目の19歳の投手がピンポイントで先発調整することは簡単ではない」 池田氏が指摘するように投手王国ゆえ、先発の椅子に空きがなく、門別は開幕から2試合に中継ぎ登板したが、4月5日には登録抹消されてファームで先発調整に入った。 2試合ファームで先発した後に4月19日に一軍に再昇格。その日の中日戦で1イニング投げたが、4月26日のヤクルト戦で青柳が5失点して登録抹消されたタイミングで巡ってきた今季初先発だっただけに、その先発調整は簡単ではなかったのかもしれない。 ただ門別のポテンシャルに疑いはない。 2022年のドラフト2位で東海大学付属札幌高から入団した2年目の左腕。審美眼を持つ岡田監督は「よくこんな投手が2位で取れたわ」と惚れ込んだ。ルーキーイヤーの昨年は優勝が決まった後の広島戦に先発して勝ち負けはつかなかったが、立派にゲームは作っていた。 岡田監督も「ええ経験になったんとちゃうか」と語っていたそうだが「先発として大きく育てたい」というのが、指揮官の構想。池田氏も「ローテーションの軸になれる素材」だと言う。 今日4日にも登録抹消されるが、ここから先の長いペナントレースを考えると必ず門別にリベンジのチャンスは巡ってくる。