男性にも少なくない「ぬいぐるみと暮らす大人たち」 知られざる意外な本音
でも「取材で感じたこの思いを、どうしたら伝えられるだろう?」と考えていくうちに、「実際にぬいぐるみと暮らしていらっしゃるご家族のお話を聞いてみたい」という気持ちがどんどん強くなって。そこで、ぬいぐるみ病院さんのご協力を得て取材をさせてもらい、この作品が生まれました。 ■外で気を張っている人もぬいぐるみに癒やされている ――ぬいぐるみって、昔だと「子どものもの、女性が好むもの」といったイメージでしたが、『わたしのぬいぐるみさん』では大人たちが性別問わず、かけがえのない存在として接しています。それを見て「あ、自由にみんな好きでいいんだな」と感じました。男性も本当はぬいぐるみが好きな方は多いですよね?
こやま:私たちが知らないだけで、そういう方も多いんだと思います。私の友人にも、旦那さんがぬいぐるみ大好き、という人がいて。ただ、取材は恥ずかしがって受けていただけなくて、友人を介してお話を聞かせてもらいました。 この本は、性別が偏らないように、というところは意識して描きました。「ひとりじゃないよ、仲間はたくさんいるよ」ということを、描けたらとてもいいのかなと。 堀口:私も、思ったよりは(男性が病院に)いらっしゃるな、という感覚がありました。ぬいぐるみ好きの方って「優しげで引っ込み思案な方」といったイメージがあると思うんですが、実はキャリアウーマンとか芸能界の方とか、デザイナーさん、芸術家の方など、外で活躍されている活発な方がけっこう多いんです。
男性も競争社会で気を張っている方は多いのだと思います。本当はすごく繊細で、でも外ではそういう面を見せずに頑張っていらっしゃる方が、ぬいぐるみと暮らすことでバランスをとっているのかもしれません。自然体の自分でいられる時間をつくっていらっしゃるのかなと。 ――実際に治療を申し込んで来られる方のうち、男性の割合ってどれくらいでしょう? 堀口:お申込みは奥さまなど女性のお名前を書かれていたりするので、正確にはいえないのですが、感覚的には2~3割はいらっしゃるかなと思っています。