日時によって通行料を変化させて交通量をコントロール! ロードプライシングは「渋滞緩和」の切り札となるか?
料金体系を変更して交通量をコントロールするのが狙い
近年「ロードプライシング」という言葉を見かけることが多くなった。「Road(道)」と「Pricing(値付け)」という言葉どおりに受け取ると、有料道路の通行料金設定のように思えるかもしれないが、ご存じのとおりそうではない。 【写真】文字は見たことあるけどなにこれ? カーナビに表示される「VICS」とは 通常、高速道路などの料金は道の建設費など維持整備費用をもとに計算するのが基本だ(現実的には路線別採算ではなくプール制だったりするが……)。一方、「ロードプライシング」というのは、通行料金の設定によって交通量をコントロールしようというアプローチでの料金設定を指していることが多い。 たとえば首都高で実施されている『環境ロードプライシング割引』という制度は、大型車や特大車に限定して、特定の路線を走ることで料金の割引を行うという制度だ。通行料割引というダイレクトに見えるコストメリットによって、事業者は道路管理者が利用してほしいと思う路線を選ぶことになる。結果として、沿道に住宅地の多い路線から主に工業地帯のなかを走る路線へ大型車・特大車を導くことで住宅街の環境向上を狙っている。 ほかにも、記憶に新しいところでいえば、東京パラリンピック・オリンピックの開催時に、首都高をスムースに走れるよう、物流を支える貨物車などを除き、昼間の料金を一律1000円増しにしたということがあった。これは渋滞を軽減するための施策だ。その成否や是非についてはさまざまな意見はあるだろうが、価格設定により交通量をコントロールするという点において、これこそが典型的なロードプライシングといえる。 現在進行形で渋滞を軽減するためのロードプライシングとして知られているのは、東京湾を横断するアクアラインによる社会実験だろう。もともとETCだけは大幅な割引料金で利用できるアクアラインだが、土日の昼間(13~20時)のみ木更津から川崎に向かう上り線の料金が割増しとなり、この時間帯の交通量を減らそうという試みがなされている。いまのところ令和6年度いっぱいまで実施される予定となっているが、もともとの期間よりも延長されていることからすると、効果的と捉えられているのだろう。 以上は、恒久的であったり、期間限定であったりするロードプライシングの例だが、今後はもっと柔軟に渋滞を軽減するためのロードプライシングが実施されることが考えられる。