ゼロからの成功、世界大会準優勝のバリスタが語るコーヒー論と地方移住
6月にアイルランドで行われた、世界のバリスタが腕を競い合う最高峰の舞台「ワールドバリスタチャンピオンシップ(WBC)」で、今年準優勝した日本人バリスタが福岡にいる。福岡市内に3店舗を展開する「REC COFFEE」の共同代表、岩瀬由和さん(34)だ。各国・地域から代表1人しか出場できず、60人以上がしのぎを削る大会で日本人が準優勝となったのは、2014年に日本人が初めて優勝して以来、2度目の快挙。日本のバリスタのレベルの高さを見せつけた。愛知県出身の岩瀬さんは、大学卒業後、縁もゆかりもない福岡市に移住。アルバイトをしていたカフェでコーヒーの世界に魅了され、福岡で友人とコーヒーショップを起こし、世界トップレベルのバリスタに上り詰めた。「福岡だから成功できた」と語る岩瀬さんから、コーヒーの奥深さや地方移住の成功の秘訣を聞いた。 岩瀬さんの競技映像
「コーヒーってコーヒー味と思っていませんか?」新しい味の提案がバリスタとしてのやりがい
── そもそもWBCとはどんな大会ですか 各国を代表するバリスタが集まり、おいしいコーヒーを淹れる腕を競います。15分間で、エスプレッソ、カプチーノ、コーヒーを使った創作ドリンクの3種類を4人の審査員に向けて作ります。今年の大会は61人が出場しました。予選、セミファイナルがあり、ファイナルに残れるのは上位6人です。一番重要なのは味。加えて、どんな豆を選んだか、その豆にはどんな特徴があって、どんな育てられ方をしたのか、などを英語でプレゼンテーションし、おいしさを伝えます。抽出の技術や動作の正確性なども評価の対象です。 日本ではまず、「ジャパンバリスタチャンピオンシップ」というのがあって、そこで優勝しなければ出場できません。日本での出場者も例年約120人いて、しかもレベルも高い。 私は2008年から出場して、2014年にやっと日本チャンピオンになることができました。ただ、その翌年に初めて出場したWBCではファイナルに残れず7位でした。そこでとても悔しい思いをしたので、今回はファイナルに進出でき、準優勝という成績をおさめられたことは本当にうれしくて、優勝できなかったことよりも「やりきった」という気持ちの方が大きい。ファイナルの舞台に立つ、ということだけでも、日本の予選から考えると、夢の様なことなので。