全世界同時スタート26万人超が参加の〝地球規模の鬼ごっこ〟 大分市の消防士が大会新記録で世界一のランナーに
全世界で同時にスタートし、タイムではなく走行距離を競うランニングイベント「ウィングス・フォー・ライフ・ワールドラン」(以下、ワールドラン)が5月にあり、大分市の市民ランナー、渡邊智也さん(30)が男子の世界王者に輝いた。初出場の渡邊さんは国際的に著名な選手やプロランナーらを制し、大会新記録でフィニッシュ。「まさか自分が優勝するなんて。きつい練習を続けてきて良かった」と喜びをかみしめた。(山崎清文) ■福岡会場で力走する渡邊智也さん【写真】 ◇ ◇ ◇ 大会は5月5日午後8時(日本時間)、169カ国・地域の会場とスマートフォンのアプリ上で、車いすランナーを含む計約26万6千人が一斉にスタート。一般的な長距離走と違って会場にゴールがなく、参加者の後ろを走る自動車「キャッチャーカー」に追い付かれた時点で各ランナーの競技が終わる。全世界で最後まで残り、最も長い距離を走った男女各1人が世界チャンピオンとなる〝地球規模の鬼ごっこ〟ともいえるメガイベントだ。国内では約2670人がエントリーして東京や福岡など5会場で実施された。 渡邊さんはマリンメッセ福岡(福岡市)に設営された福岡会場で参加し、海外会場のランナー2人と国境を越えた〝デッドヒート〟を展開。レース最終盤でライバルたちを抜き去り、大会記録(69キロ)を上回る70・1キロを走破して覇者となった。所要時間は約4時間12分。「途中で記録を超えられると分かったので『どうせなら70キロを』と頑張りました」と声を弾ませた。 大分県別府市出身の渡邊さんは中学で陸上を始め、中長距離走の選手として久留米大などで活躍。現在は大分市消防局で消防士として働きながら各種の大会に出場する。マラソンの自己ベストは2023年の別大毎日マラソンでマークした2時間20分41秒。渡邊さんは「肉体的にはつらいが、忍耐力と精神力を鍛えられる」と長距離走の魅力を語る。 次の照準は6月30日に北海道で行われる「サロマ湖100キロウルトラマラソン」。過去3回出場し、昨年は7時間4分47で5位だった。「(優勝した)ワールドランのペースなら6時間40分台を狙える。自己記録を更新して3位以内に入りたい」と、さらなる躍進を誓った。